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| 6. 対象業務のコンテキスト | ||||||||||||
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「対象業務のコンテキスト」とは業務の全体像のことです。別の言い方をすると「要求開発のスコープ」ということもできるでしょう。「対象業務のコンテキスト」は図示すると関係者で共有することが容易になります。筆者の場合は、UMLのビジネスユースケース図やDFD(データフローダイアグラム)を使用して「対象業務のコンテキスト」を描きます。 ![]() 図2:販売業務のDFDの例 ![]() 図3:販売業務をUMLのユースケース図に準じて表現した例 ご覧になればわかるように、これらの業務コンテキスト図は非常にシンプルな内容ですが、対象業務の外界との境界や主要なイベント、情報流、ユースケースなどを的確に表現するものです。 このような業務の全体像についての共通の認識を関係者が持つことによって、ここまでに述べた5つの共有事項(目的・ゴール、プロセス、役割、マイルストーン、優先事項)の理解をより深めることができます。 例えば業務担当者であれば、業務全体における自分の役割や他のステークホルダとの関係を業務コンテキスト図で再認識することで、これから実施する要求開発作業に自分がどのような貢献ができるのかを具体的にイメージすることができます。また開発者であれば、事前に業務の全体像を頭に入れておくことで、個々の詳細な検討項目が全体の中でどういった位置づけにあるのかを常に意識しながら作業することが容易になります。 業務コンテキスト図は非常にシンプルな図なので、モデリングの知識がない業務担当者でも容易に理解できるものです。したがって、筆者はキックオフミーティングの最後にチームの最初の共同作業として業務コンテキスト図を作成することをお勧めします。この作業は2時間もあれば十分に完了しますし、まず失敗することもないので、チームは最初の成功をプロジェクト開始直後に体験することができます。 また、キックオフミーティングから最初の共同作業までの時間が長くなればなるほど、要求開発という未知の活動へのチームの不安が高まります。そういった意味でも、キックオフミーティングの直後に業務コンテキスト図を作成することはメンバーの不安を素早く解消して、何となくやっていけそうだという自信をチームに植え付けることにも役立ちます。 今回は「プロジェクトの初動を乗り切る」ことがプロジェクトを成功させるためには不可欠であること。そして、そのためには「プロジェクトの全体像」を関係者で共有することが有効であることを説明しました。次回は、「現場力を獲得するための4つのポイント」の残りの2つを解説します。 |
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