第8回:PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2 (2/3)

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第8回:PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
著者:SRA OSS  石井 達夫   2006/5/16
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Slony-I

   PostgreSQLの開発中心メンバー(コアメンバー)の1人が中心になって開発した非同期レプリケーションシステムだ。Slony-Iでは、システム全体に1台だけ存在するマスタDBに更新があれば、その情報が複数台のスレーブDBサーバに伝搬される仕組みになっている。伝搬にはある程度時間がかかる。そのため、マスタDBとスレーブDBの内容はリアルタイムには一致しない。これが「非同期」と呼ばれる理由だ。


   Slony-Iを使うためには、更新はマスタDBにのみ振り向け、検索はマスタ、またはスレーブDBに振り向けるといった工夫をアプリケーションに施す必要がある。

   また、マスタDBがクラッシュした際にはスレーブDBの1つがマスタDBに「昇格」するが、この操作には手作業が必要であり、またその間DBシステムを停止しなければならないという制限がある。

   またラージオブジェクトなど、一部使えない機能があるので注意が必要だ。


クラスタサーバの数に比例し更新処理性能が低下する点に注意

   以下であげるレプリケーションソフトは処理性能に注意する必要がある。


PGCluster(pgfoundry.org/projects/pgcluster/)

   日本人が開発したPostgreSQL用のクラスタソフト。複数台の「クラスタサーバ」と呼ばれるDBサーバを中心に、そこにリクエストを振り分ける「ロードバランスサーバ」、レプリケーションをコントロールする「レプリケーションサーバ」から構成される。クラスタサーバは推奨3台なので、全部で5台構成にもなるシステムだ。


   PGClusterでは、すべてのクラスタサーバの内容を常に一致させる同期レプリケーション方式を採用。どのクラスタサーバを検索しても、同じ結果が返ることを保証している。これを利用して、検索処理を負荷分散できる。クラスタサーバが3台ならば、単独のPostgreSQLのほぼ3倍の性能がだせる。そのため、検索負荷の高いサーバ用途に適している。

   半面、更新処理はクラスタサーバの台数に比例して性能が低下するので、該当処理が多いシステムには適さない。

   可用性においては、PGClusterは極めて優秀だ。クラスタサーバのうち、1台でも稼働していればDBシステムとして止まらないからだ。特に優れた点として、DBシステムを止めることなく、修理の終わったクラスタサーバを復帰できるという点があげられる。DBの内容を同期している最中でも、更新処理を続けられる。

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SRA OSS 石井 達夫
著者プロフィール
SRA OSS,Inc.  石井 達夫
SRAを経て、現在はSRA OSS,Incの日本支社長として、日本でのOSSビジネスを推進する立場にある。個人的にもPostgreSQLの開発、普及活動に取り組んでおり、名実ともにPostgreSQLを最強OSSDBにするのが夢。主な著書は「PostgreSQL完全攻略ガイド」など。

INDEX
第8回:PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
  ミッションクリティカルな用途にPostgreSQLを適用する
Slony-I
  pgpool
オープンソースの適用可能性を示す
第1回 ユーザ企業におけるOSS浸透のカギはメインフレーム世代のSE
第2回 DB管理ツールを例にOSSの現在の実力を診断する
第3回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その1
第4回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
第5回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
第6回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その4
第7回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
第8回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
第9回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
第10回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(後編)
第11回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(前編)
第12回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
第13回 クライアントのOSとしてLinuxを検証する
第14回 バッファオーバーフローとサーバ側のセキュリティ対策を考える

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