第7回:発注担当者に必要なもの(2)〜社内調整、SEとの付き合い方〜 (1/2)

システム発注担当者
だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜

第7回:発注担当者に必要なもの(2)
〜社内調整、SEとの付き合い方〜

著者:システムクリエイト  田中 徹   2005/1/6
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   この連載で、発注部担当者やその所属先である情報システム部はIT知識よりも業務知識に精通していなければならないと何度か述べてきました。しかし、業務の規模も大きくなり、分野も多方面にわたると、全ての業務を詳細に至るまで把握することは困難になってきます。こういうときに、情報システム部、発注担当者として必要なスキルは、社内の調整役ということになります。
社内調整
社内調整役

   システムはたくさんの人、部署が使いますが、それぞれの人がシステムに求めるものやシステムの活用方法が全て一致しているわけではありません。

   例えば営業社員が客先にノートパソコンを持ち込んで、受注し、それに見合う資材の在庫、発注、納品日の確認まで、現地でオンライン処理をするとします。営業社員がシステムに求めるのは、「常に最新の情報がシステムにあるか」ということや、「お客様に確約できる信頼できる情報か」どうかということになります。

   一方、データを更新する部署では、手動で行うもの、自動で行うものを常に監視しながら、最新のデータ状況にするわけですが、販売情報や仕入情報はそれぞれ「仮り」なのか「確定」なのかという、データの正確性を求めます。また販売実績以外の情報からも、仕入れ量を変化させなくてはならないなら、その情報の「信頼性」と「リアルタイム性」をシステムに求めます。
   経理部門では、発注伝票、請求書といった処理を行うことでしょう。

   例えば、一口に「画面の操作性がよい」と表現しても、大量に一括処理を行うときとスピードを求められる場合では「操作性のよさ」の意味合いが違ってきます。
情報システム部では、使う人、部署の要望をどれだけ汲みいれ、システムに反映させられるかが今後のシステムに対する評価になっていきます。そのために、常に他の部署とコミュニケーションを図り、業務のやり方・改善点をヒアリングし、システムに対して確固たる意見を持つようにしておきます。それを開発会社にどれだけ伝えられるか、要望を反映させるかが担当者のスキルになります。

   情報システム部、発注担当者の役割とは「調整役」であるといえます。


権限

   時には情報システム部や発注担当者が何かを決定しなければならないことがあります。あるシステムについて対立した意見があり、どちらかに決めなければならないとき。十分な議論・検討を行い、結果強い意志を持って決定しなければなりません。日ごろから各部署とコミュニケーションを図り信頼を得ていれば、「担当者が決めたことだから」と意見を尊重してくれるでしょう。社内的にも、最終決定権があるというアナウンスを十分しておくことが大切です。

   SEとしてユーザとの打合わせをしていると、最終決定権が誰にあるのかが不明な場合が非常に多いです。「最終的に責任を取りたがらないので明確になっていない」というよりは、「リーダーシップの重要性を認識していない」という場合の方が多いようです。
   情報システム部は「調整役」と「リーダーシップ」の両面性があるわけですから、それに見合う業務知識が必要なことはいうまでもありません。

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著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


INDEX
第7回:発注担当者に必要なもの(2)〜社内調整、SEとの付き合い方〜
社内調整
  SEとの付き合い方
だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜
第1回 システム発注担当者の苦悩
第2回 システム開発の流れ
第3回 開発形態と開発会社の規模による違い
第4回 見積もりについて
第5回 発注側の体制・社内体制を整える
第6回 発注担当者に必要なもの(1)〜業務知識とIT知識、業務フロー〜
第7回 発注担当者に必要なもの(2)〜社内調整、SEとの付き合い方〜
第8回 そもそもSE、プログラマってどんな人?
第9回 さあ困った 〜その時発注担当者がするべき事は〜
第10回 本番に向けてのテスト
第11回 先達に学ぶ 〜トラブル事例紹介〜
第12回 よりよいシステムにするために

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