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ITコスト評価インデックスとITコストベンチマーキング
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第5回:企業情報システムの見積依頼/見積評価の課題
著者:日本情報システム・ユーザー協会   2006/5/29
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企業情報システムの見積依頼/見積評価の課題

   企業情報システムの見積依頼は、各社の社内ルールに準じて調達活動が行われている。JUASで検討している「業務担当部門の業務システム企画仕様に基づく情報システム構築は図1に示す方法で調達業務が行われる。
JUAS業務システム企画仕様に基づく情報システム構築/引用:EMシステムコンサルティング
図1:JUAS業務システム企画仕様に基づく情報システム構築
引用:EMシステムコンサルティング
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   これからの業務システムの情報システム設計開発構築は、業務担当部門が業務システムの企画仕様を提示し、見積照会書(RFQ)を提示し、システムベンダーが見積仕様書を提出し、納品物を明確にし、明瞭で公正な内訳金額を提示して契約を行うことで行われることをあるべき姿として想定している。

   現状は提案書要求書(RFP)をシステムベンダーに示し、システムベンダーの提案を受けて、業務担当部門の要求分析を行い、企画設計を進めながら契約内容を詰めてから契約締結する方法が取られている。

   このことは、業務担当部門がこれからの業務システムの機能/処理方法を定義し仕様として提示できないことから情報システム部門やシステムベンダーが業務担当部門を代行していることになる。

   しかし、情報システム部門やシステムベンダーが業務担当部門を代行するとしても、業務機能/処理方法は業務担当部門からのヒアリングや協力を得ながら進めることになり、業務担当部門でもそれなりに作業が発生する。また、作成された仕様の承認は、事業責任/業務責任を持つ業務担当部門が行うことになる。

   業務担当部門は、事業責任/業務責任の一貫として、業務改革から新しい事業/業務形態を創造することが要求されているならば、自分たちの業務システムの企画設計を行うことに注力する必要がある。

   この業務システムの企画設計による仕様は、「業務システムとして何を作るか」を最低限提示できればよく、業務システムの設計を行う必要はない。情報システム部門やシステムベンダーは、「業務システムとして何を作るか」を基に、「如何に作るか」の知見を十分に生かして業務システムの設計を効率よく行うことができるスキルがないならば、情報システム設計開発構築を行う専門家ではないとされると理解すべきであり、すでに時代は経過し経験を積んできたと考えるべきである。

   このために、ユーザ企業はシステムベンダーの「業務システムの理解力」と「情報システムの設計能力」を特に重視して評価し選定することがシステム調達上で重要な要素となる。

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社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
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日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/

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