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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第5回:Storage Foundationのコアの概要(VxVM)

著者:シマンテック   2007/5/11
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Storage Foundationが必要な理由

   Storage FoundationのコアコンポーネントであるVeritas Volume Manager(VxVM)とVeritas File System(VxFS) は、データセンターのソフトウェアスタックの中で中心的な位置を占めます。ホスト単位でのストレージの仮想化、ファイルの編成や管理は、エンタープライズコンピュータシステムを運用するためには、無くてはならないものなので、UNIXとLinuxのオペレーティングシステムには、ネーティブの仮想化ソフトウェアとファイルシステムが組み込まれています。

   それでは、なぜStorage Foundationのために投資する必要があるのでしょうか?これは、言い換えればUNIX とLinuxのネーティブのファイルシステムとボリュームマネージャで基本的な企業の要件に十分に対応できているのかという疑問につながります。

   つまり、ほとんどの企業にとってStorage Foundationは絶対に必要であり、十分に対応できるというのが答えです。Storage Foundationの機能は、オペレーティングシステムに組み込まれている仮想化ソフトウェアやファイルシステムの機能よりもはるかに優れています。

   Storage Foundationがデータセンターにもたらす付加価値は、特に次の3つの分野でオペレーティングシステムのネーティブコンポーネントをはるかに上回っています。
  • 数千個のストレージデバイスや数千万個のファイルも管理できるようにStorage Foundationの拡張性を高める先進的な機能

  • 1つの管理コンソールから制御でき、統一された操作方法によって、データセンターにあるUNIXとLinuxのあらゆるプラットフォームでストレージとデータを管理することを可能にする幅広いプラットフォームのサポート

  • 機能統合により、Storage FoundationのI/Oパフォーマンスや、データの可用性、ストレージの資産管理をシマンテックが提供しているクラスタマネージャ(CMC)やストレージマネージメント(SFMS/VEA)からできると同時に、主なデータベース管理システムやアプリケーションからも利用することが可能

表1:Storage Foundationがデータセンターにもたらす付加価値

   Storage Foundationの価値について詳しく理解するには、ストレージの仮想化の性質や、Storage Foundationのコアコンポーネントの機能が実装されているしくみをさらに見ていく必要があります。


ストレージの仮想化

   IT業界での仮想化とは通常、一般的に入手できる物理コンポーネントを組み合わせることによって、本来実現するのが難しい、(あるいは、そもそも実現不可能な)コンポーネントやサービスを生み出すことを意味します。たとえば、データ消失までの平均時間が1,000,000,000時間というディスクや、1秒に2,500件のI/O要求を実行できるディスクなどは、そもそも作成するのが不可能であるか、少なくともコスト的に無理があります。

   ところが、仮想ディスクでは、一般的に入手可能な物理ディスクを使い、同じデータを2つ以上のディスクでミラー化するか、数十個のディスクでブロックアドレスをストライプ化することによって、簡単に作成できます。

   ストレージデバイスの仮想化は、1つ以上の物理デバイスを管理するソフトウェアによって実現します。そのソフトウェアは、仮想ストレージに対するクライアントの読み書き要求を管理対象デイバスに対するコマンドに対応付けます。仮想化には2つの部分があります。

  • クライアントのI/O要求をどのディスクあるいはどのディスクアレイのLUNのI/O操作に対応付けるかを定めたアルゴリズム

  • そのアルゴリズムが使用する設定情報。設定情報では、仮想デバイスのどの部分をどの物理デバイスに割り当てしているか、仮想デバイスにアクセスするためにどんなアルゴリズムを使うべきかを判断します

表2:仮想化にある2つの部分

   たとえば、ミラー化した仮想デバイスのアルゴリズムには、すべてのデバイスに対するクライアントのそれぞれの書き込み要求を実行することと、クライアントのそれぞれの書き込み要求を実行するために1つのデバイスを選択することが含まれています。一方、ストライプ化した仮想デバイスのアルゴリズムでは、仮想デバイスのブロックアドレスを1つ以上の物理デバイスのブロックアドレスに変換し、選択したデバイスに対してコマンドを実行することによってクライアントのそれぞれの読み書き要求を実行します。

   アルゴリズムは、仮想化ソフトウェアが実行を開始するたびにロードされる実行可能コードです。その意味では揮発性があり、仮想化ソフトウェアの再起動のたびにアルゴリズムの新しいコピーがロードされます。仮想化ソフトウェアが利用しているストレージデバイスが故障し、デバイスの交換をした場合でも、交換したデバイスを認識し利用する事が可能になります。

   一方、設定情報には永続性がなければなりません。設定情報は、仮想化ソフトウェアがアルゴリズムを正しく実行するために、仮想デバイスのどの部分をどの物理デバイスが担当するのかを判別するための唯一の方法です。仮想ストレージの設定情報は、システムの再起動をまたいで保持する必要があるだけでなく、ストレージデバイスの故障や入れ替えのときでも保持する必要があります。ある意味で、仮想ストレージの設定情報は、エンタープライズシステムの中で最も重要なデータであると言えます。

   なぜならば、これはアプリケーションデータの位置を確認するために不可欠な情報だからです。仮想ストレージの設定情報が失われれば、重要なデータそのものは管理対象の正常なデバイスで物理的にまったく損傷を受けていないにもかかわらず、そのデータを見つけてアクセスすることがまったくできないという、きわめてクリティカルな状況になってしまいます。

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シマンテックイエローブック

本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。

http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp

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著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

http://www.symantec.com/jp


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