第1回:リッチクライアントの発展とCurl (1/4)

リッチクライアントCurlの特徴と導入実態
リッチクライアントCurlの特徴と導入実態

第1回:リッチクライアントの発展とCurl
著者:セントラル・コンピュータ・サービス  松永 俊思
2005/5/9
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Webシステムの発展

   WebシステムはHTMLが定義され、HTTPを標準のプロトコルとしたWWW(World Wide Web)が生まれたことからはじまっています。HTMLの活用のしやすさとグローバルなネットワーク環境によって、WebシステムはまさにWorld Wideに発展を遂げてきたといえます。

HTMLの限界

   Webシステムの発展の過程でHTMLは度重なるバージョンアップをしてきましたが、基本的には静的な情報のみを扱う技術の枠を超えていません。なぜならば、現在の動的なWebシステムは全てサーバに依存した構成で成り立っているからです。Webシステムの基本的な仕組みは、サーバがクライアントのリクエストにもとづいてデータ処理をおこなって、動的に生成したHTMLをユーザがダウンロードしてブラウザに表示するというものです。

   ユーザの要求はWebシステムの発展とともにどんどん高まってきています。それは単なる情報の入出力だけでなく、表現や操作性を高めて、より使いやすくしたいというものです。この要求に対して、これまでJavaScript、DHTML、Flash、Shockwaveを適用して対応してきました。これら複数の技術を組み合わせることで、単に情報の表示をおこなうシステムとしてではなく、データを扱うシステムとしての適用が進んできたわけです。

   現在のWebシステムの適用の拡大は、クライアント側にプログラムの配布を必要としない環境という優位性が、操作性などの利便性を上回っていたことによります。しかし、現在のWebシステムでは複数の技術を組み合わせる必要があり、システムの構築に無理を重ねています。このような状態でWebシステムを構築していることが、非常に複雑なシステムになってしまう原因でもあります。


リッチクライアントの登場

   このように、クライアント/サーバ型システムが持つアプリケーションの配布・管理の課題が解消し、グローバルなネットワーク網を活用できることから、Webシステムを構築する要求はますます高まってきています。しかし、これまでのWebシステムの操作性・表現力は低く、複数の技術を適用してユーザの利便性・操作性の向上をはかっていますが、まだまだ十分なものとはいえません。

   ここにきて、相対的に我慢してきた利便性・操作性にも対応したシステムを構築することが求められています。今後のWebシステムの要件として認識されている訳です。この要件を解消するために、様々なリッチクライアント製品・技術が登場して注目されているのが現状といえます。


Curlのコンセプト

   現在リッチクライアント製品・技術は多数存在していますが、目的と対応コンセプトが製品・技術によって異なっています。一概にどの製品・技術が最良だといえるものではありません。解決すべき課題と必要なコストを考えた上でどのリッチクライアント製品を選択するかを考える必要があります。

   それでは、本連載で取り上げるCurlとはどのような製品・技術なのかを説明します。Curlは開発言語、開発環境、開発基盤であり、実行環境でもあります。そして、マルチメディアをも扱うことができる拡張性を持っており、その適用範囲は無限の可能性すら感じます。

   非常に広範囲にわたる製品になっているため、その全体像を一言で表現するのは適切ではありません。強いていうならば、現在のインターネット環境下においてサーバの処理をクライアントに分散させることで、
ネットワークとサーバに負荷のないアプリケーションを構築するための統合的な技術・製品だといえます(図1)。サーバクライアント分散協調型のWebアプリケーションの構築こそが、Curlの製品コンセプトであり、目的とするところです。

サーバクライアント分散協調型
図1:サーバクライアント分散協調型


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セントラル・コンピュータ・サービス株式会社
著者プロフィール
セントラル・コンピュータ・サービス株式会社  松永 俊思
メインフレーム、クライアントサーバ、Webシステムと基幹系から情報系アプリケーションシステム開発を実施。また、開発支援パッケージとして「MagicAnswer for Notes」(NotesDomino設計要素解析ツール)の製品監修を担当。2002年より営業に転じ、企業の情報システム課題に対する提案を進めている。Curlは次世代アプリケーション像として、2004年より取り扱う。問い合わせE-mail:curlsales@ccs.co.jp


INDEX
第1回:リッチクライアントの発展とCurl
Webシステムの発展
  Curlの特徴
  Curlの開発環境
  高速で安定した実行
リッチクライアントCurlの特徴と導入実態
第1回 リッチクライアントの発展とCurl
第2回 ドキュメントを活用したCurlアプリケーションの開発
第3回 Curlアプリケーションの公開
第4回 Curlの適用事例(前編)
第5回 Curlの適用事例(後編)
関連記事 : Biz/Browserで経営の効率化を実現する
第1回 リッチクライアントとBiz/Browser
第2回 Biz/Browserの運用事例
第3回 「Biz/Browser」の機能紹介
第4回 「Biz/Browser」の機能による生産性の向上
第5回 「Biz/Browser」の「昨日」「今日」「明日」
関連記事 : リッチクライアントの現状と今後の動向
第1回 リッチクライアントとは
第2回 リッチクライアントの市場調査結果
第3回 リッチクライアントの適用事例
第4回 リッチクライアント製品/技術動向
第5回 リッチクライアントの将来
関連記事 : IdbAで構築する生産性が高いリッチクライアント
第1回 Rimless Computingとは?
第2回 リッチクライアントとIdbA
第3回 コンポーネントの開発事例
第4回 これからのリッチクライアント
第5回 開発生産性を向上するIdbA R2.0と、その方向性
Eclipseで実現するリッチクライアントの世界
第1回 他とは異なるEclipse RCPの特徴
第2回 アプリケーションを実際に作ってみる(前編)
第3回 アプリケーションを実際に作ってみる(後編)
第4回 アプリケーションの配布
企業システムにCurlを適用させるメリット
第1回 5つのCurlの利用方法
第2回 従来のWebアプリケーションとリッチクライアントにおける開発方法の違い
第3回 Curlフレームワーク「CX4」で変わるリッチクライアント開発

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