稼げるフリーランスとなるために、信頼を得る秘訣とは

2018年8月14日(火)
於 ありさ(おき ありさ)

7月18日(水)、東京のDIAGONAL RUN TOKYOにて「稼げる人は何が違う?共通点は“学び方”にあった!?日経MOOK『フリーランス&“複”業で働く完全ガイド』発売記念イベント」が開催された。

今回のイベントは、「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」(以下、フリーランス協会)が初監修を務めた『フリーランス&“複”業で働く完全ガイド』の出版記念イベント。そのこともあり、フリーランス協会の代表理事を務める平田 麻莉さんの音頭による出版を祝う乾杯でイベントは開会した。

『フリーランス&“複”業で働く完全ガイド』出版を記念し乾杯でスタート

その後、山口周さんによるミニセミナーや、書籍に掲載されている方によるトークセッションが行なわれ、「活躍し続けるフリーランスでいるための秘訣」が紹介された。

「1つの会社にいれば幸せ」という時代の終焉

トークセッションに先立って行われたのは『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』などの著者である山口 周さんによるミニセミナー。

著作家・コンサルタントの山口 周さん

山口さんは「人生100年時代になったこと、人工知能によりホワイトカラーの仕事が減っていることから、1つの会社にいれば幸せという考えは終わった。そして、仕事の意味が見出しにくい時代にもなった。だからこそ、私たちは人生100年を25年ずつ、それぞれ春夏秋冬に当てはめた時の、夏の時期(26歳~50歳)に自分が世の中にどんな貢献ができるかということを考えながら、天職を探すことが大切です」と説明した。

しかし、「25年というのはとても長い」と前置きをしたうえで、「25年間、業種も業界も1つのところに居続けるのはリスクが高い。だからこそ、働く中では変化が必要。しかし、どちらも一気に新しくすると苦しい。だから、業種か業界どちらかをずらしていくことで、変化を付けること、さまざまな苦難の中で信用を培うことが求められています」と続けた。

満席の会場。参加者はみな山口さんのセミナーに聞き入っていた

そして、そんな現代で活躍している人の特徴として、「僕から見て、活躍している人の共通点は、皆楽しんで仕事をしているということ。論語の中に『これを知る者はこれを好むものに如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず』といった言葉があります。人生における夏の25年間で楽しんで仕事ができるかが要なのです。皆さんもいろいろなことに挑戦し続ける中で、ぜひ楽しんでできる仕事を見つけてみてください」と述べ、集まった参加者へ激励の言葉を送った。

人生100年時代における夏の時期をどう過ごすか

続いて行われたトークセッションでは、平田さんをモデレータに、今回出版されたムック本に巻頭インタビューや著者として参画した方々が登壇。フリーランスとして活躍し続けるコツや、稼げる秘密についてトークが行われた。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事 平田麻莉さん

平田:フリーランスで活躍している方には常に声がかかり続けている印象がありますが、信頼はどのように蓄積されていくのでしょうか?

  • 近藤:一度できた縁は、よほどの失敗をしない限りは切れないのかなと思っていますが、どうなのでしょうか。

  • ITエンジニアの近藤 祥子さん

  • 宮本:僕の場合はよく「give!give!give!」と先に与えること、また、実力以上の全力を出すことが大切だと思っています。あとは手柄を独り占めしないとか、辛い時に手放さなかったとか、そういう経験によって信頼は蓄積されていくのではないかと思っています。
  • 池照:雇用形態でいうと、私はIC(独立業務請負人)として仕事をしていますが、完全に1人というわけではなく、いろいろな方とお仕事しています。現に、完全リモートのチームを組んで仕事をしているのですが、そのメンバーには、私の理念と自分の強みと弱みの共有は欠かさないようにしています。「信頼を得るために!」と意識した上での行動ではないですが、そういったことが信頼に繋がり、もし失敗しそうになっても、困ったことがあっても、なんとかフォローしてもらえている気がします。
  • 山口:近藤さんが「信頼とか御縁が切れる人はいるのか」とおっしゃっていましたが、実はかなりいるんですよ。例えば、できないことをできると言って受注してしまったり。「嘘をつかない」とか「手柄を横取りしない」とか、人間としての基本ができていないと、やはりすぐに切られてしまいますよね。

  • 左から山口さん、池照さん、宮本さん

平田:そもそも皆さんが考える、信頼関係とはなんでしょうか?

  • 山口:例えば、絶体絶命のようなストレスがかかった状態の時に人間性は出るので、異業種交流会で、すごく良い印象を持った人よりも、大変だった時に逃げなかった人の方が信頼関係を得られると思います。
  • 宮本:山口さんのおっしゃる通りで、楽しい時を共に過ごした方との信頼関係ももちろんありますが、ピンチの時にどこまで一緒に手を繋げたかという信頼には勝てないですよね。

  • トークセッションの様子

平田:世間的にフリーランスは「やりたいことをやっていて楽しそう」というイメージがある一方で、時には自分にストレスをかける仕事をすることも大切なのかなと思いますが、いかがですか?

  • 近藤:チームではなく1人で動くことを前提にしているフリーランスだからこそ、やらなくてはダメなことも多いので、ストレスを避けてやりたいことだけをやって生活するのは少し違うかもしれません。上司がいないからこそ、最初から最後まで自己責任なんです。そうであると同時に自由を手にできるんですけどね!
  • 山口:チクセントミハイという心理学者がいるのですが、彼は「ある程度のストレスがあった方が仕事は楽しめるし、成長できる」と言っています。ですから、徐々に自分のレベルを上げて、仕事のスキルも意識的に上げていくことが必要ですね。

仕事をしながら、幸せに過ごし、楽しむ秘訣とは

平田:幸せが多様化するということは、働き方が多様化することだと思うのですが、皆さんが幸せの軸として持っていることは何ですか?

  • 池照:「新しいことに挑戦できる」という環境です。会社員として働いていて思ったのが、キャリアを積んでいくことで、自分の裁量で選択できるようになり、自由度は上がっていくということ。しかし、私の今の働き方は選択できるだけでなく、「選択肢を作る」ことができているんですね。この「選択肢がないなら作れば良い」ということに喜びを感じています。

  • 株式会社アイズプラス代表 人材・組織開発コンサルタントの池照 佳代さん

  • 宮本:幸せの軸というわけではありませんが、不確実性を楽しめる力を持ち続けたいなとは思っています。これから80歳まで働くとしたら、今当たり前の働き方の常識が当たり前ではなくなるタイミングってたくさんあると思うんですね。そういう意味では、ある程度のリスクヘッジはしながらも、「私が将来何をしているか」は確実にはわかりません。これからも、予期しなかったことに出会い続ける能力を持ち続けていきたいなと思います。

平田:フリーランスになって、自分の強みについて悩んでいる人も多いようです。楽しみながら向き合える仕事、スキル、専門性や強みはどのようにしたら見つかるのでしょうか?

  • 山口:1つの分野ではチャンピオンになれなくても、3つの分野で100位くらいにいることが大切です。ある領域で一番になるよりも、得意領域を掛け合うことで独自性、ユニーク性が生まれて、強みになるので。

稼げるフリーランスになるために、意図的で戦略的である必要はない

平田:山口さんのおっしゃる掛け算による組み合わせは、意図的に見つけていくものなのか、自然と見つけられるものなのでしょうか?

  • 宮本:過去は変えられないと言いますが、僕自身は過去の事実は変えられなくても、意味づけは変えられると思っています。だから、その時、その時を楽しんでいれば、結果として繋がっていくと思います。

  • 営業コンサルタント/ファンドレイジングアドバイザーの宮本 聡さん

  • 池照:人事としていろいろな方と出会っている中で、この人強いなと思う人は「好き」「得意」「わくわく」を持っている人なんですよね。だから、業界問わずに好きなものに携わり、そこで得意を発揮し、ワクワクして活躍できる人にはかなわないなと思います。そういう意味では、意図していないのではないかなと思いますね。

平田:仕事を退屈にしないために意識していることはありますか?

  • 近藤:仕事がマンネリ化しないように、SEという仕事を通して色々な業界に携わりたいとは思っています。あとは、退屈なことが苦手なので、退屈に感じた時は単純に仕事量を増やす傾向にあるかもしれません。
  • 池照:「仕事を楽しんだ方が良い」と言うと、「会社員だから会社の仕事をしているだけで、特段楽しむことはない」と言う人がいますが、仕事は会社の中だけではないと思っています。マネタイズはしていないものの、家のことや地域のことも立派な仕事です。そこに意味づけできるかで「好き」「得意」「わくわく」は探せるのではないかと思いますね。

平田:お話を伺っていて、「稼げる」ということは、信頼があり、声がかかり続けることなのかなと思いました。最後に、そうなりたいと思っている方にメッセージをお願いします。

  • 近藤:私自身、稼げる人になれているかはわかりませんが、仕事もプライベートもあまり断らない性格なのです。だから、この欲張りな性格が掛け算しあって、今の私を作ったのかなと思います。

  • 「稼げるフリーランスになるためには」というメッセージを求める平田さん

  • 宮本:これまでは「迷った時はやる」ということを判断軸にして来ました。迷っている時間がもったいないし、決断してしまえばなんだかんだで機会に繋がっていきますから。何事もどんどんやってみることが大切です。
  • 池照:ICとして仕事を始めて2年は、独立して業務を請け負ういう、名前通りの仕事をしていました。でも、ある時すごく自分がつまらない人間になってしまった気がしたんですよね。そんな時に気づいたのは、「独立業務請負人としてあるべき姿に捉われすぎていたな」ということ。そこで、仕事の定義を変えて何でも1人でやろうとしなくなったら、つまらない状況から抜け出せました。だから、仕事に面白さを感じなくなった時には、自分の都合の良いように仕事を定義したり、新しい概念を作ったりしてしまえば良いと思います。仕事を楽しめたら、お金は付いて来ますからね。
  • 山口:仕事の報酬には2つあって、1つは経験、もう1つはお金です。人生における夏の時期には、経験を優先すれば良いのではないかと思います。池照さんのおっしゃる通り、お金は後からいくらでも付いて来ますから。

  • 山口さんは時にホワイトボードも使用して熱く積極的に解説を行なっていた

    急速に多様化が進む働き方の中で

    トークセッション後、会場では登壇者と参加者による交流会が行われ、本イベントは幕を閉じた。

    フリーランスやパラレルキャリアなど、近年急速な速さで変わっていく働き方。今回、多様な働き方を実践している方々のお話を聞いて、これからの働き方で重要なのは「どうあるべきか」よりも「どうありたいか」だと感じた。だからこそ、会社に依存しすぎることなく、個人としての意志を持って、自分自身の好きや楽しみを追求し、磨き続けることが求められている。

    皆さんも一度立ち止まって、「自分自身のありたい姿」を考えて見てはいかがだろうか。

著者
於 ありさ(おき ありさ)
ライター/発信者
1991年生まれ。青森県出身。金融機関、編集プロダクションでの経験を経て、フリーランスのライター/発信者として活躍中。「働く」と「好き」(美容・エンタメ)を中心に、インタビュー記事を中心とした取材記事から、コラム記事まで幅広く執筆している。一部、広報(SNSの運用)のお仕事も。
執筆実績:https://note.mu/colorfulnote/m/m63338b550eda
Twitter:@okiarichan27

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