はじめに
「Linux PCはデスクトップPCとして本当に使えるのか?」その妥当性を検証するための実証実験プロジェクトが、2004年10月から2005年5月まで実施されました。
本プロジェクトでは、つくば市と岐阜県の小中学校に合計300台を超えるデスクトップLinux PCを導入し、このLinux PCを活用したIT活用授業が進められています。今までに3,000名以上の児童・生徒がLinuxを使って様々な学習を進めてきました。
本連載では、このプロジェクトで実際に行なわれたLinuxデスクトップの活用例や学校で効果的に使用するための工夫、開発したシステムの紹介など、小中学校へのLinux導入事例を裏話を交えて紹介します。
プロジェクトの目的
本実証実験プロジェクトは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の2004年度オープン ソースソフトウェア活用基盤整備事業の一環として「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての実証実験」とのタイトルで実施されたプ ロジェクトです。タイトルが長いので、このプロジェクトをOSDS(Open Source Desktop for Schools)と呼んでいます。OSDSは、プロジェクトをとりまとめた三菱総研の他、表1に示す9社がIPAの支援を受けて実施しました。
| 三菱総合研究所 | 全体とりまとめ、評価、情報発信 |
| アルゴ21 | 岐阜県実証実験サポート |
| キヤノン | つくば市実証実験プリンタサポート |
| サン・マイクロシステムズ | つくば市Linux OSサポート |
| ジャストシステム | 一太郎サポート |
| シャープシステムプロダクト | 共同学習システムサポート |
| 日本アイ・ビー・エム | クラスルームPC管理ソフトウェア開発 |
| ターボリナックス | 岐阜県Linux OSサポート |
| ビジネスサーチテクノロジ | つくば市実証実験サポート |
OSDSでは、デスクトップとして導入したLinux PCを教員・児童・生徒が実際に利用し、既存の教材ソフトや教育用コンテンツがLinuxでも使えることを示しました。またその過程でLinuxはデスク トップ用途として十分な機能を持つか、操作は簡単かどうか、といった項目を評価しました。さらに、サポートが不可欠であることを想定したうえで、妥当性の あるサポート方法を検討しました。
| 数のインパクト | 大規模なLinux導入実証実験 |
| 実用性の改善 | 検証だけでなく課題解決も実施 |
| 運用負荷軽減 | OSSサポートビジネス創出の検討 |