国内のOSS利用実態調査結果を発表、「Hadoop/Spark Con」基調講演―Sparkの将来像とは、ほか

2016年2月12日(金)
吉田 行男
IDC Japanは4日、国内企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態調査結果を発表しました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

台湾での地震に引き続き、関東地方でも震度4の地震が発生したり、桜島の噴火もあったりと、日本列島が激しく揺れた1週間でした。また寒さは相変わらずですが、今週末はぐっと暖かくなるようです。とは言えまだまだ油断できないので、体調管理にご注意ください。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

国内企業におけるオープンソースソフトウェアの利用実態調査結果を発表

IDC Japanは4日、国内企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態調査結果を発表しました。OSSを「本番環境で導入している」と回答した企業は31.3%で、昨年の31.5%、一昨年の32.0%と比べて、この3年間で大きな変化はありませんでした。従業員規模別に分析した結果、「本番環境で導入している」と回答した企業は1,000人~4,999人で36.8%、5,000人以上で39.4%となり、100~499人以下の企業が最も低く24.8%となり、企業の規模に比例してOSSの導入率が高くなる傾向があります。管理する人材が乏しいことが、多くの中小企業でOSSの導入率が上昇しない要因の一つとしても考えられます。OpenStackなどの新興OSSは認知度も高まってきており、今後のさらなる普及が見込まれます。

(参照記事:http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20160204Apr.html

初のUbuntu搭載タブレット「Aquaris M10」、Canonicalが発売へ

英国Canonical社は4日、初の「Ubuntu」搭載タブレット「Aquaris M10 Ubuntu Edition」のリリースを発表しました。Canonicalは2013年にタブレット向けインタフェースを発表しており、一部のAndroidタブレットにインストール可能ですが、プリインストールされた製品版は初になります。ディスプレイは10.1型で、Bluetoothのキーボードとマウスを接続すればPCのように使うことも可能です。また、Micro HDMIポートもあるのでディスプレイにも接続できます。

(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1602/08/news072.html

YARN、HDFS、そしてSparkの将来像とは:「Hadoop/Spark Con」基調講演

日本Hadoopユーザー会は8日、東京都品川区で「Hadoop Conference Japan 2016」を開催しました。第6回目となる今回のイベントでは「Spark Conference Japan 2016」が初めて併催され、キーノートには「Apache Spark」の主要開発者であるXin Reynold氏も登壇し、2016年にリリース予定のSparkの次期バージョン「Spark 2.0」の最新情報を紹介しました。2015年はSparkにとって大きな飛躍の年で、Sparkは最も活発なオープンソースプロジェクトであり、1,000人以上がコントリビューターとして開発に参加しました。Spark 2.0の正式リリースは4~5月を予定しており、現在GitHub上で急ピッチに開発が進められています。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35077570/

仮想ネットワークトラフィックを可視化、ミドクラが新機能

スイスに本社をおくミドクラ社は3日、同社のネットワーク仮想化ソフト「ミドクラ・エンタープライズ・ミドネット(MEM)」の最新版MEM5.0の提供開始を発表しました。仮想ネットワークを可視化・運用性を大幅に向上させるツールである「MEM Insights」の追加が最大のポイントです。ネットワーク仮想化では、トラフィックフローのトポロジーを物理的なネットワークの構成と切り離せることが最大の特徴ですが、逆にこのことで、日常的な運用およびトラブルシューティングが困難になると指摘されています。MEM5.0では、こうした指摘に応えるツール「MEM Insights」を追加し、グラフィカルにトラフィックを可視化し、リアルタイムで分析できるとしています。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1602/03/news120.html

Firefox OSのスマホ向け開発は5月で終了 今後はIoTへ注力

米国Mozzila財団は4日、モバイルOS「Firefox OS」のスマートフォン向け開発を5月に終了すると発表しました。今後のFirefox OSはIoT分野への展開に焦点を当て、リソースを注ぐことになります。Firefox OSに関しては昨年12月、スマートフォン向けの開発と提携キャリアを通じた販売を中止する意向を明らかにしていましたが、今回、MozillaはあらためてFirefox OSに関する詳細な計画を発表し、「バージョン2.6」のリリースをもってスマートフォン向けの開発を終了します。このため、スマートフォン向けFirefox OS開発に取り組むスタッフは5月でいなくなります。

(参照記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/020800388/

編集後記

9日にOBCIのプレミアムセミナー「ディープラーニング最前線2016」でのお話です。「コンピュータは大人向けの高度な推論よりも、1歳児レベルの知覚や運動スキルを再現する方がはるかに難しく、これを『大人の人工知能』と『子どもの人工知能』と区別している」と東大の松尾准教授が説明していました。
ディープラーニングが期待される領域は、この「子どもの人工知能」で今後大きく発展すると予想していました。「何気なく日常過ごしていることが実は一番難しい」というこのパラドックスは、とても興味深いお話でした。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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