OTRS入門 -クラウド時代の運用管理をITILで最適化する- 6

構成アイテムのバージョン管理

構成アイテムのバージョン管理

OTRSの構成管理の機能として、現在保存している構成アイテムのデータをバージョン管理して保存されています(図6の「バージョンナンバー」の部分を参照)。また、「履歴」ボタンより、構成アイテムの更新情報を閲覧することもできます。

図6:バージョン管理(クリックで拡大)

構成アイテムの連結方法

サービス資産・構成管理プロセスでは、複数の構成アイテムを連結して管理することが推奨されています。構成アイテムを連結することで、例えば、ある構成アイテムが故障した際の影響範囲を把握したり、変更作業のインパクトを把握したりできるようになります。

それでは、設定方法を説明します。「CMDB」の「一覧」をクリックして、該当する構成アイテムをクリックすると、構成アイテムの詳細が表示されます。その詳細の画面にある「連結」ボタンをクリックすると、どのように連結するのかを選ぶリストボックスが表示されます。選択できる連結は以下の通りです。

  • FAQ
  • 構成アイテム
  • 作業依頼書
  • サービス
  • チケット

図7は、WebサーバがWebサービスと連結した設定例です。

図7:連結設定した後の構成アイテム表示(クリックで拡大)

アドオン機能の提供方法

OTRSでは、以下のアドオン機能をサブスクリプションとして提供します。Tritisサービスのベーシック・サブスクリプション保守サポート契約をすることで、アドオン機能パッケージを入手することができます。

1. 顧客-CI割り当て
顧客と構成アイテムを連結するための機能です。
2. CI添付サポート
構成アイテムにファイルを添付することが可能になります。デフォルトでは、ファイルを添付することはできません。

※OTRSのアドオン機能の詳細説明は、以下のURLを参照して下さい。
→参照:Tritisサービス(OTRS)

クラウド環境における構成管理

クラウド環境のように多様な機器やツールが入り組んだ環境では、1つの構成アイテムの障害が、どのサービス、どの顧客に影響を及ぼすのかを把握するのが難しくなります。例えば、あるサーバのディスク障害が発生したとき、どの顧客に影響するのか把握することは、クラウド環境では非常に困難です。

筆者は、クラウド環境こそ、OTRSのようなITIL準拠した運用管理ツールなどで管理する必要があると考えています。OTRSではインシデント管理だけでなく、サービスに影響する構成アイテムの障害がどの構成アイテムに影響するのか、どのサービスに影響するのかといった関連性を管理し、影響範囲を特定するツールとしても利用できるからです。

次回は「OTRSの変更管理(前編)」について説明します。

<編集部より>3ページ目の一部表記ミスを修正しました。(2012.02.14)

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