第5回:詳細設計書(後半) (2/3)

即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化
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第5回:詳細設計書(後半)
著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2005/8/15
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BL一覧表

   ビジネスロジック(BL)は、MVCアーキテクチャの処理部分(M)をつかさどるオブジェクトです。図2のように表示部分(V)や入力部分(C)からは直接データにアクセスせず、BLを経由してやり取りを行う構図となります。
MVCアーキテクチャ
図2:MVCアーキテクチャ

   BL一覧表は、この"機能"で使用されるBLをすべて洗い出し、BLとテーブルの関係を一覧で表したものです。第2回にCRUD表について説明しましたが、そのCRUD表をBL単位に表したものがBL一覧表ということになります。横欄にBLを並べ、縦欄に関連するテーブルをすべて記述します。そしてBL単位に表示(S)、挿入(I)、更新(U)、削除(D)のアクセスに分けて、BLとテーブルの関連を示します。

BL一覧表
図3:BL一覧表
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


更新・処理仕様書

   各ビジネスロジックの更新・処理内容は、図4の「更新・処理仕様書」と図5の「補足説明書」に記述します。これまでのドキュメントは"機能"単位で作成するものでしたが、この2つはビジネスロジック単位で作成します。つまり、1機能の中にBLが3つ存在していれば、「更新・処理仕様書」「補足説明書」も3セット作成されることになります。

   更新・処理内容の記述は、アプリケーションの内容に応じて異なります。そのため、どこまでテンプレートの形で提供できるかは難しい課題となりますが、DUNGEONではインターフェースとデータ更新処理の2つを「更新・処理仕様書」で表形式とし、そこで表しきれない処理内容を「補足説明書」に記述するようにしています。

   図4は「更新・処理仕様書」のテンプレートです。左側の欄には、このBLに対する画面側から見た場合のインターフェース項目が記載されています。どのような引数を渡すか、そしてどんな処理結果をアウトプットとして受け取るかなど、内部処理とは独立した形でインターフェース項目を定義するのです。インターフェースされる各パラメータごとに、I/Oの区別、データ型、サイズ、必須かどうかなどについても定義します。

   右側の欄には、このBLから見たデータソースに対する更新処理を記述しています。アクセス対象となるテーブルや列を更新対象データ欄に記述し、列ごとにどのような値をセットするかを更新元データ欄に記述します。

   データに対するアクセスには、挿入と更新と削除があります。削除はレコード単位ですが、挿入と更新は列(項目)単位に値を記述する必要があります。挿入と更新で別々にアクセス内容を記述するのは手間なので、本シートではInsertを基準とし、Updateもある場合に更新欄に○を付けることで簡略記述化しています。

更新・処理仕様書
図4:更新・処理仕様書
(画像をクリックするとExcelファイルをダウンロードできます。/40.0KB)

   BLが受け取った値を元にそのままテーブルを更新する処理は、記述が非常に簡単です。インターフェース欄に書かれた入力項目が、そのまま更新元データ欄に記載され、更新対象データ欄のテーブル/列に対応します。

   もう少し複雑な処理も本シートで対応できます。例えば入力項目が「数量」と「単価」、更新対象データが「金額」というような場合は、更新元データ欄に計算式「数量」×「単価」と記載します。丸め処理を定義するような場合は、備考に「少数切捨て」というように記載すれば良いでしょう。

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著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータ社を設立。 常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。 国際競争力のない日本のIT産業が、ここから巻き返しを図るための切り札は「プロジェクト管理」だと信じ、実践的なプロジェクト管理手法「PYRAMID」を自社開発している。


INDEX
第5回:詳細設計書(後半)
  機能設計書のドキュメント体系
BL一覧表
  補足説明書
即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化
第1回 開発ドキュメント体系と業務フロー
第2回 機能一覧表とI/O関連図
第3回 基本設計書
第4回 詳細設計書(前半)
第5回 詳細設計書(後半)
第6回 単体テスト仕様書&報告書
第7回 結合テストと総合テスト
第8回 要求仕様書の標準化プロセス
関連記事 : 即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理
第1回 プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン
第2回 PMBOKをベースにしたプロジェクト管理の管理
第3回 スコープ管理とスケジュール管理
第4回 コスト管理の構造と見積手法
第5回 品質管理
第6回 組織管理
第7回 コミュニケーション管理
第8回 リスク管理
第9回 調達管理(外注管理)
関連記事 : 即活用!ツールを活用したデータモデリング
第1回 ソフトウェア産業に産業革命を起こすデータモデリング
第2回 ERの基礎知識とツールの活用法
第3回 日本語名の是非とデータ型採用方針
第4回 制約の使い方、Unicode使用可否、明細テーブルの設計
第5回 教科書的ではなく、現場にあったデータベース設計のコツ

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