第7回:メーリングリストでコミュニティに参加しよう (2/3)

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第7回:メーリングリストでコミュニティに参加しよう

著者:たかはしもとのぶ   2008/1/16
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メーリングリスト(ML)は何をするところ?

もとのぶ先生    ところで森君は、日本Sambaユーザ会のメーリングリスト(以下ML)に参加しているのかな?

森君    いえ…。どれに入っていいのかわからなくて。

太田さん 太田さん    ユーザ会のメーリングリストについてのところに「初心者の方や、どれに入れば良いか分からない方は、まずsamba-jpメーリングリストに参加してください。」って書いてあるじゃない。
金子さん    森君、パソコン持ってきてあげるから、ここから参加登録してみたら? 美香ちゃん、1台マシン持ってきて。

森君 森君    え、ちょっと待ってください。そもそもMLって入る必要あるんですか? Webサイトでも十分な情報ってあるじゃないですか。ボクみたいな初心者が入ったって、何のメリットもなさそうな難しい議論ばかりやってそうだし、変なこととか間違ったことを書いたら「半年ROMってろ」とか返事が来そうだし、恐ろしげな雰囲気漂ってそうなんですけど。
太田さん    …もとのぶ先生、実際に会ってみると、彼は噂以上ですねぇ。よーし、じゃあ、日本Sambaユーザ会のMLを管理しているわたしが説明しましょう。

   MLっていうのは、特定のメールアドレスにメールを送信すると、そのメーリングリストに登録されているユーザ全員に内容が送信されるっていうシステム。メールマガジンと違うのは、MLのメンバであれば、だれでもメールの送信ができること。

図1:メーリングリストの仕組み
図1:メーリングリストの仕組み
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   例えば、森君が「こんなことわかりませんか〜」といってMLにメールを投稿すると、それがメンバ全員に配送されるから、見知らぬ誰かが「答えはこうですよ〜」って答えてくれるかもしれない。

   こうやって見知らぬ人と情報交換ができるのがMLの特徴かな。

   SambaのMLもそうだけど、普通は好きな時に参加できるし、好きな時に脱退もできる。用途に応じて色んなMLがあるから、自分の好きなものに自由に参加できる。

森君    わからないときに、教えてくれる人がいるのはありがたいなぁ。

小田切さん 小田切さん    森君、そんなことだから「教えて君」っていわれちゃうんだよ。もしSambaのMLで聞きたいことがあるなら、OSの種類とバージョン、使っているSambaのバージョン、適用したパッチ、設定ファイルであるsmb.confの内容を説明できるようにならないとね。森君が管理するサーバを、世界中のみんなが知っているわけじゃないんだし。
   それから、いろいろな質問を読んでいて思うのは「最終的に何がやりたいのか?」をはっきり主張してほしいということかな。本当は「A」がやりたいのに、ネットでの検索結果から「Bを設定すると、Aができるらしい」と勝手に判断して、MLに「Bの設定はどうやるんですか?」と聞いてくる人が多いんだ。

太田さん 青井部長 もとのぶ先生 太田さん・青井部長・もとのぶ先生    確かにそれはよくありますねぇ。
小田切さん    もし「Bを設定するとAができる」という仮定が間違っていたり、Bよりももっと良い方法があると、答える方としては、なんでこんな無意味なことをしたいのか? 何を聞きたいのか? といったくだらないメールのやりとりが増えてしまうし、問題解決まで時間がかかったりするよね。

森君    そうですねぇ。いわれてみれば、僕も仕事で金子さんに「で、あんたは結局何がしたいの?」って聞かれるときがあるけど、僕の質問の仕方が悪いってことなのかなぁ?

小田切さん    そうかもしれないね。森君も、もしMLで質問したいことがあったら、メールのサブジェクトに自分が本当にやりたいことを書くといいよ。古くからあるMLだと、サブジェクトは英語でというルールがあるかもしれないけど、samba-jpの場合は、日本語OKだからね。

森君 森君    す、すみません…。サブジェクトって何ですか?
金子さん 金子さん    メールの件名、表題のこと。以前は、メールクライアントが対応していないといった理由もあって、サブジェクトやTo、Fromに日本語を書くのはNGっていうのが当たり前だったのよ。
森君    金子さん、そんな大昔からメール使ってたんですか。

金子さん    うるさーい。

太田さん 太田さん    まぁまぁ。電子メールの書き方については、いろいろ議論はあると思います。

   で、もし森君がMLに参加したいと思うなら、私としては、是非メーリングリスト参加に関する注意点を読んで欲しいと思います。リンク先は日本Sambaユーザ会のものですが、これ以外にも、それぞれのMLで固有のルールがあると思うので、参加するのであれば、こうしたページでしっかりチェックすると良いでしょう。

   それから「Sambaに関わっている」人の立場は、所属や環境でさまざまです。だから、他の人への配慮を忘れないでほしいですね。これはMLに限らず、コミュニティ活動全般にいえることですけど。
青井部長 青井部長    そうしたことを忘れて、ぶしつけな質問をしてくる人が増えましたねぇ。質問するのは構わないんですが、自分が何をしたか、その結果どうなったか、自分としては最終的に何をどうしたいか、も書かずに「わかりません、動きません」だけじゃ、答えようがありません。

   それから、問題が解決したら、いきなり音沙汰なくなるケースもありますね。「解決したのかな?」と想像できるけど、せめて答えてくれた人へのお礼と、簡単でもいいから、手順をまとめて投稿してくれると、後の人が非常に役立つのですが。たまにお礼だけ書く人がいますけど、お礼だけじゃ、その投稿は技術的にまったく意味がないですからねぇ。
太田さん    多くのMLの場合、そのMLに参加していない人がアーカイブ(書庫)という形で参照できることが多いので、青井部長が仰るように「まとめ」を書いておくと、MLに参加している人にも、そうでない人にも有用な情報になるね。Samba全般を扱うsamba-jpの場合、samba-jp 保存書庫というページから、過去のMLを読むことができますし。

   まぁ、そうはいっても、最初はみんな「何がわからないのか、わからない」って段階からはじまるから、参加するときの注意を守れば、あとは、あまり肩肘張らずに気軽に参加しても良いんじゃないかな。何を書いたらよいかわからない状態でも、ちゃんと書けば、ガイドしてくれる場合もありますし。

森君    なんだかMLに参加しようかな、って気になってきました。ところで、参加する前のMLの情報がアーカイブという形で参照できるってことですけど、こういうのって、どうやって運用しているんですか?

本記事はフィクションであり、実在の人物には一切関係ありません。

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たかはしもとのぶ
著者プロフィール
たかはしもとのぶ(高橋基信)
1970年生まれ。1993年早稲田大学第一文学部哲学科卒。同年NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。
クライアント・サーバシステム全般に関する技術支援業務を長く勤める。UNIX・Windows等のプラットフォームやインターネットなどを中心とした技術支援業務を行なう中で、接点ともいうべきMicrosoftネットワークに関する造詣を深める。
現在は「日本Sambaユーザ会」スタッフなどを務め、オープンソース、Microsoft双方のコミュニティ活動に関わるとともに、各種雑誌への記事執筆や、講演などの活動を行なっている。


INDEX
第7回:メーリングリストでコミュニティに参加しよう
  森君受難の新年会パート2!
メーリングリスト(ML)は何をするところ?
  メーリングリストって、どうやって運用しているの?
たかはしもとのぶの「はじめてのオープンソース」
第1回 オープンソースって無料で使えるの?
第2回 オープンソースのオフィスソフトって?
第3回 オープンソースって、仕事に使えるのかなぁ?
第4回 オープンソースにもデータベースってあるんですか?
第5回 オープンソースコミュニティは何をするところ?
第6回 OSSのライセンスに沿って運用してますか?
第7回 メーリングリストでコミュニティに参加しよう
第8回 森君、サーバのセキュリティ管理を任されるの巻!
第9回 ネットワーク関連ツールを使ってみたら...
第10回 歴史から知るオープンソースの心
第11回 特別編!LinuxWorldで森君と握手!
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