第2回:Serviceguard for Linuxでクラスタ環境の管理 (2/3)

改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - クラスタ編
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第2回:Serviceguard for Linuxでクラスタ環境の管理

著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/12/28
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クラスタLVMとパッケージ

   SGLXにおける共有ストレージは、全クラスタノードから物理的に接続されている必要がありますが、共有ストレージ内で冗長化されている1つのリソースにアクセスできるのは1ノードのみです。複数のクラスタノードが共有ストレージ上で構成されている1つのリソースに同時にアクセスすることはできません。

   もし複数のクラスタノードが共有ストレージ上の1つのリソースへ同時にアクセスすると、共有ストレージ上のデータは破壊されてしまいます。しかし、複数のクラスタノードから、共有ストレージ上に存在する別々のサービスにアクセスすることは可能です。

   この機能を実現するためには共有ストレージ上にLVM領域を作成します。SGLXでは共有ストレージ上に、冗長化したいリソースごとにLVMボリュームグループを作成します。SGLXで管理されるリソースは、共有ストレージ上に作成したLVMのボリュームグループに一対一で対応します。

   例えば、高可用性を持ったApacheサーバとMySQLサーバを1つのクラスタシステムで実現するためには、Apache用のLVMボリュームグループとMySQL用のLVMボリュームグループを作成します。これにより、ApacheとMySQLのデータを単一の物理ストレージ上に持ち、別々のクラスタノードから同時に各アプリケーションを利用することが可能となります。

   ノードに障害が発生した場合、そのノード上で実行されていたアプリケーションやデータが保存されているボリュームグループは、障害ノードで非アクティブ化され、待機している正常なクラスタノードでアクティブになります。
ApacheとMySQLのリソースをLVMボリュームグループ上に配置
図5:ApacheとMySQLのリソースをLVMボリュームグループ上に配置
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   可用性をもったアプリケーション、リソース(仮想IPアドレス、ディスク領域、ファイルシステム、プロセスなど)、フェイルオーバー先のノード名などをひとまとめにしたものをSGLXではパッケージと呼びます。SGLXで冗長化されるアプリケーションは、パッケージとして取り扱います。パッケージの実行に必要なものとして、以下の2種類のファイルがあります。

  • パッケージ構成ファイル
  • パッケージ制御スクリプト

表2:パッケージの実行に必要なファイル

   パッケージ構成ファイルには、パッケージ名、サービス名、フェイルオーバーポリシー、所属するLANのサブネットなどを記述します。一方パッケージ制御スクリプトには、そのアプリケーションが利用するLVMボリュームグループ、ファイルシステムの種類、マウントポイント、仮想IPアドレス、カスタムスクリプトなどを記述します。


パッケージ制御スクリプトの作成方法

   SGLXはアプリケーションをクラスタノードで起動、停止する際に、パッケージ制御スクリプトを実行します。パッケージ構成ファイル、パッケージ制御ファイルは、管理者がスクラッチから作成する必要はなく、以下のコマンドで簡単に雛形を生成できます。

パッケージ構成ファイルの雛形pkg.confを生成する方法
# cmmakepkg -p /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf

パッケージ制御スクリプトの雛形pkg.cntlを生成する方法
# cmmakepkg -s /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.cntl

   SGLXではパッケージ構成ファイル、パッケージ制御スクリプトを冗長化したいアプリケーションごとに用意します。また各アプリケーションは、異なるLVMボリュームグループを利用しますので、例えばApache用とMySQL用にそれぞれパッケージ構成ファイルとパッケージ制御スクリプトを生成し、それぞれの制御スクリプトには異なるLVMボリュームグループを記述します。

   これらパッケージ構成ファイル、パッケージ制御スクリプトの雛形からシステム要件にあった設定に変更した後、全クラスタノードにファイルをコピーし、パッケージ構成ファイルのチェックとコンパイルを行います。

   パッケージ構成ファイルの内容をチェックするためのコマンドとしてcmcheckconfコマンドが用意されていますので、必ずチェックを行います。

パッケージ構成ファイルのチェック
# cmcheckconf -P /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf

   チェックしてエラーがない場合は、cmapplyconfコマンドにより、パッケージ情報をコンパイルします。コンパイルすると、クラスタバイナリファイルとしてSGLXに組み込まれます。

パッケージ構成ファイルのコンパイル
# cmapplyconf -P /usr/local/cmcluster/conf/pkg01/pkg.conf

   以上のようにSGLXは、クラスタ構成ファイル、クラスタ制御スクリプト、Serviceguard for Linux Toolkitのモニタリングスクリプトなどにより、カスタマイズ性が非常に高く、様々なベンダーのオリジナルアプリケーションに対してクラスタ化が可能となっている点が特徴です。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
第2回:Serviceguard for Linuxでクラスタ環境の管理
 Serviceguard for Linuxにおける仮想IPアドレス
クラスタLVMとパッケージ
 SGLXの管理
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - クラスタ編
第1回LinuxでもHAクラスタ
第2回Serviceguard for Linuxでクラスタ環境の管理
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - バックアップ編
第1回オープンソースMondo Rescueによるバックアップ手法
第2回NetVault for Linuxを使ったバックアップ
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - ネットワークサービス編
第1回Webサーバの基本「Apache」
第2回3つのファイルサーバ「NFS & FTP & Samba」
第3回IPアドレスを管理する「DHCPサーバ」と通信の橋渡し「NATルータ」
第4回NATサーバに必要なファイアウォール設定とデータベースサーバ、メールサーバ
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - 管理ツール編
第1回現実路線のサーバ管理ソフトウェア
第2回手軽なWeb管理ツールと強力な専用ツール
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - サーバ編
第1回ブレードサーバとLinux
第2回HAクラスタとバックアップ
第3回データレプリケーションとWebサーバの構築の基本
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - インストール編
第1回Red Hat Enterprise Linuxの概要
第2回インストールの方法とサポート状況の確認
第3回インストールとNICの設定
第4回インストール後に行う設定
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 管理編
第1回外部ストレージの設定と運用について
第2回RHEL4におけるユーザ管理
第3回RHEL4におけるシステム管理とSIMについて
第4回RHEL4におけるOSのチューニング

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