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仕事で使えるRed Hat Enterprise Linux徹底入門
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エンタープライズ領域におけるLinux/OSS導入調査
著者:矢野経済研究所  入谷 光浩   2006/9/15
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概論

   2000年前後あたりから市場に登場し始めたLinuxは、当初一部のコアなユーザにしか利用されなかった。当時はオープンソースという文化が市場に受け入れられておらず、企業の情報システムにおける利用が疑問視されていたからだ。

   その後、コミュニティや関連企業、エンジニアの努力の成果もあってLinuxは徐々に市場に浸透していき、今では約4割の企業で導入されるまでになっている。また、LinuxディストリビューションやLinuxサーバの出荷も高い成長率を達成している。一通りの投資がなされ、成長が徐々に鈍化しているIT市場の中にあって、Linux市場の盛り上がりはここにきて一際目立っている。

   そこでLinuxやOSSの導入利用状況をより詳細に把握するために、矢野経済研究所ではユーザ企業に対してアンケート調査を実施している。ここでは、そのアンケート調査結果を中心に、LinuxやOSSの動向を紹介していく。

   アンケートは各企業や公共団体の情報システム管理者に対して、郵送で実施した。調査実施期間は2005年11月から2005年12月である。最終的な有効回答数は793サンプルとなった(図1)。
回答プロフィール(業種、従業員数、年商)
図1:回答プロフィール(業種、従業員数、年商)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


急拡大するLinuxサーバの導入

   企業の情報システにおけるLinuxサーバの導入率は、1年前(2004年)に行った調査では27.6%であったのが、今回は39.2%と11.6ポイントも増加しており、この1年間で急激にLinuxサーバの導入が進んでいることがわかる(図2)。

Linuxサーバの導入率
図2:Linuxサーバの導入率
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   業種別に見ると、最も導入率が高い業種は「公共・公益法人」の86.2%で、他の業種と比べても圧倒的に高い。産業では「サービス業」が最も高く52.6%、次いで「建設業」と「組立製造業」が40.5%、35.1%と続いている。

   前回調査と比較すると、全般的にどの業種も導入率がアップしているが、その中でも公共・公益法人が1.5倍以上と大幅に伸びている。また「金融・保険業」が、前回調査の14.6%に対して今回の調査では32.2%と2倍以上も伸びており、金融系でLinuxサーバの導入が急速に進んでいることがうかがえる。システムの更新や入れ替えには慎重な姿勢を見せる金融業界がLinuxの導入を進めているということは、Linuxが高い信頼を得られてきている証拠でもある。

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矢野経済研究所
著者プロフィール
株式会社矢野経済研究所  入谷 光浩
民間総合調査会社である矢野経済研究所のITリサーチ部門にて、サーバやミドルウェアを中心としたエンタープライズコンピューティングのリサーチを担当。近年はエンタープライズにおけるOSSの市場動向に着目しリサーチを行っている。


INDEX
エンタープライズ領域におけるLinux/OSS導入調査
概論
  ミドルウェアでの利用が増加
  OSSの導入率は5割弱