2006年のERP業界を振り返る〜2007年のERP業界の展望と課題〜 1

2007年度のERPは全体で36%、中堅企業では42%の導入率と予測

2007年度のERPは全体で36%、中堅企業では42%の導入率と予測

   2007年度のERP導入率がどのくらい向上するかを予測してみることにする。図4は2002〜2006年までの5年間のERP導入経年変化を示し ている。毎年、回答企業数が異なっているが、2003年を除いてサンプル数は480社〜621社であり、全体の傾向を見るには統計学的に十分であると考え ている。

2002〜2006年のERP導入状況経年変化 出典:ERP研究推進フォーラム
図4:2002〜2006年のERP導入状況経年変化
出典:ERP研究推進フォーラム
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   ERPを導入している企業と利用を拡大している企業(実際のユーザ群)は、2002年では19.3%、2006年では31.9%となっている。年平 均伸び率(CAGR)は13.4%の伸びとなっている。この伸び率を2007年の導入済みと利用拡大企業群(実際のユーザ)の予測に適用すると、全体で 36%強となる。中堅企業の売上高300億〜1,000億円の企業規模では、導入率が42%を超えると推測される。

   実際の現場の声として、中堅企業向けのERPパッケージベンダーのマーケティングの方との意見交換でも、今年は中堅企業の大手(500億〜 1,000億円規模)から、セミナーなどへの多くの参加があり、その対応に追われているとのことであった。内部統制への対応を考える上で、ERPを真剣に 考えているあらわれといえよう。

まとめ

   2006年は内部統制に揺れた年であった。これ自体は悪いことではなく、社会が進歩し複雑化していく中で、人間の行う業務の流れであり、それを支え ているITシステムには常にリスクが存在しているものである。あらゆる不正を考えて社会システム、ITシステムを設計していたのでは、膨大なシステムとな り到底実用に供しないであろう。

   しかし、すべて性善説をベースにして社会の仕組み、ITシステムを設計、構築、運営することはもはや許されない。実際に、多くの不正事件が起こっていることも事実である。

   2002年に施行された、米国SOX法を契機に、日本でも内部統制に関する法制化が行われていることは、極めて必然的であり、前向きに受け止めて、より安全で安心な社会システム/ITシステムの構築が重要であると考える。

   2007年は、IT業界やERP業界に何が起こるであろうか。経済状況が回復した背景で、企業の投資意欲も上向いてくることが予想される。その中 で、IT基盤の長期的な見直しとITシステムをより高度に経営に活用する機運が高まり、ITシステムの存在が重要となる年になって欲しいと念願して、本稿 を終える。

   皆様に取りまして、2007年がすばらしい年になることを祈念しております。

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