徹底比較!!SaaS vs.パッケージ 1

あらためて、セールスフォースが先進的なわけ

あらためて、セールスフォースが先進的なわけ

   このように、エンタープライズアプリケーションの世界は、明らかに次のステージへ上がろうとしている。SaaSモデルの到来に伴い、高いサービスレ ベルへの進化がなされたことは決して偶然ではない。セールスフォース・ドットコム社が突然思い付いたひらめきでもない。

   従来のパッケージソフト販売モデルでは、新たなシステムを導入するのに多額の初期構築費用がかかるため、ユーザ企業は一度決めたら数年それを使い続 ける覚悟で、慎重な検討を重ねてパッケージを選択し、導入してきた。そこではパッケージ自体の評価のみならず、それを扱う開発ベンダー企業の体制や実績、 既存の関係などへの信頼性が大きな判断材料となり、大企業が有利な面もあった。

   ところが、SaaSの環境においては、新しいソフトを利用し始めるのもやめるのも簡単であるため、ソフトウェア同士の競争は自ずと激しさを増す。

   提供ベンダー企業の大小に関わらず、数ある同じような機能のソフトの中で、卓越したユーザビリティを提供するものだけが選ばれる。コンシューマ向け インターネットサービスの世界で、かつては多数存在していた検索エンジンやオークション、各種マーケットプレイスなどのサービスが、瞬く間にその中の1つ か2つに絞られていったことをみると、インターネットサービスにおいては、本当に優れたものしか生き残れないという厳しい現実がわかる。

   そのような熾烈な競争が待ち受けるSaaS業界の近未来を予測していたからこそ、セールスフォース・ドットコム社は、はじめから徹底的なユーザビリティ、サービス志向を提供する最先端のビジネスモデルで勝負に出たのだ。

   見据えているのはもはやパッケージソフト販売モデルとの競争ではなく、近い将来SaaS業界の中に続々と出てくるだろうあらゆるソフトウェアサービスとの競争であったに違いない。

   このような背景があって、今、コンシューマ向けの優れたインターネットサービスに馴れ親しんだユーザの誰しもが、無意識のうちに待ち望んでいたレベ ルのエンタープライズサービスを、セールスフォースが一足飛びに実現しつつある。そのことに対する感動、驚き、さらなる期待が、冒頭のカンファレンスにお ける熱気に表あらわれているのではないだろうか。

   そしてもう1つ、セールスフォースにはユーザ企業とパートナー企業を熱狂させる「共存共栄モデル」がある。

次回は

   次回は、SaaSならではのセールスフォースのこのモデルについて見ていきたい。

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