XenとVMware ESX Serverの違い
XenとVMware ESX Serverの違い
Xenは他の仮想マシンソフトウェアと比べて何が違うのでしょうか。
今回はサーバ向け仮想マシンソフトウェアで代表的なVMware ESX Serverと比較してみたいと思います。
| Xen | VMware ESX Server | |
| 動作環境 | x86、x64、 IA-64アーキテクチャ上 |
x86、x64アーキテクチャ上(ESX認定サーバが必要) |
| 管理OS | Linux、NetBSD | VMware ESX Server専用OS |
| ゲストOS | Linux、Solaris、FreeBSD、NetBSD、OpenBSD、Plan9、Windows全般(注1) | 主要Linuxディストリビューション、 Windowsサーバ全般、NetWare、FreeBSD |
| 高可用性 | Live migration | 主要Linuxディストリビューション、Windowsサーバ全般、NetWare、FreeBSD |
| 運用容易性 | XenOptimizer、xensv | VMware Virtual Center、 VMware Web Management Interface |
それでは、アーキテクチャ、管理OS、ゲストOS、高可用性、運用容易性について比較していきます。
アーキテクチャ
表1の動作するアーキテクチャを見るとXenの方が多くのハードウェアで動作可能なことがわかります。現在のところ、Pentium系(x86アー キテクチャ)とItanium系(IA-64アーキテクチャ)の両方で動作可能なサーバ向け仮想マシンソフトウェアはXenだけです。
管理OS
管理OSとしてはXenの場合、LinuxとNetBSD(注2)が選択できます。これはオープンソースであるからこそ可能なのです。管理者が使い慣れたOSや言語で好きなようにカスタマイズすることが可能です。
VMware ESX Serverの場合、管理OSはRed Hat Linuxをベースにカスタマイズしたものが提供されます。またVMware社から提供されているものしか利用できません。管理スクリプトとしてPerl が提供されていますが、PHPやRubyは提供されておりません。
ゲストOS
先ほども説明したように、Xenは疑似仮想化を行う仮想マシンソフトウェアであるため、OSに修正を加えることができないWindowsの場合、そ のままでは動作しません。しかし、Intel Virtualization TechnologyやAMDのPacificaといったCPUの仮想化支援技術を利用することで動作可能です。
またVMware ESX Serverでは動作対象外のSolarisがXenで動作するのは、Xenの強みだといえます。
高可用性
ゲストOSを動作中のまま他のサーバへ引き継ぐという機能は、VMwareVMotionの方が有名ですが、XenでもDomain migration機能のLive migrationを行うことで同等以上のことができます。
VMware VMotionの場合、FC接続の共有ディスクが必須ですが、XenではFC接続の共有ディスクの他にNFSやiSCSIを利用することが可能です。つまりネットワーク回線さえあればいいのです。
運用容易性
運用容易性に関しては、現在までの実績が高いVMware ESX Serverが勝っているといえます。VMware Virtual Center、VMware Web Management Interfaceなどの管理ツールのインターフェースは非常に洗練されています。
現在、Xenツールとして標準で配布されているxensvは基本的な作業しか行うことができません。ただしオープンソースであるため必要な機能を追加し、改善していくことは可能です。
XenSource社がXenOptimizerというWebブラウザベースのXen管理ソフトウェアを作成したため、一般にも普及すれば運用容易性は高まると思われます。
まとめ
今回はXenを用いて、サーバ向け仮想マシンソフトウェアの動きを解説しました。
次回は「自宅で試せる仮想インフラ」と題し、サーバ向け仮想マシンソフトウェアXenをインストールする手順を解説します。