2008年のJavaScript動向
AjaxやJavaScriptライブラリは一般的に
今回は、Ajax、JavaScriptライブラリや開発ツール、最新のWebブラウザやGears、Adobe AIRなど注目の新技術まで、2008年のJavaScriptの動向を押さえておきたいキーワードと共に紹介します。
数年前からのAjaxの流行により、もはやWebアプリケーションにおいてAjaxは一般的な存在となっています。AjaxとはもともとAsynchronous JavaScript and XMLの略で、JavaScriptでXMLを使用した非同期通信を行うというものでした。Ajaxを利用することで画面全体をリロードせずにサーバーにデータを送信したり、画面の一部を動的に変更したりといった処理が可能になります。
現在では、Ajaxの通信フォーマットにJSON(JavaScript Object Notation)などをより軽量で扱いやすいフォーマットを利用することも多くなっています。JSONはJavaScriptのオブジェクトリテラルのサブセットですが、JavaScript以外の言語でも利用可能なライブラリがそろってきており、プログラミング言語を問わず利用可能なデータ交換フォーマットとして利用されています。
Ajaxの登場により、Webページにおいて複雑なJavaScriptコードを記述するケースが増えてきました。また、JavaScriptを使用する上で常に悩みの種となるブラウザ間の互換性の問題もあります。これらの問題を解決するために登場したのがPrototype.jsなどのJavaScriptライブラリです。2008年は国内でもPrototype.jsやjQueryなどJavaScriptライブラリに関する書籍が出版されるなど、JavaScriptライブラリの利用も一般的なものになったと言ってよいでしょう。
次々と登場するリッチなWebサービス
Ajaxの火付け役となったのはGoogle Mapsですが、その後もAjaxやJavaScriptを活用しリッチなユーザーインターフェースを提供するWebサービスが次々と登場してきています。今ではデスクトップアプリケーションと同様のユーザーインターフェースを備えたWebサービスが登場しても多くのユーザーは驚かないでしょう。
2007年はWebサービスを組み合わせて新たなWebサービスを作成するマッシュアップという手法や、Ajaxによるリッチなユーザーインターフェースを売りにしたWebアプリケーションを提供するSaaS(Software as a Service)が大きな注目を集めました。しかし、2008年はマッシュアップやSaaSというキーワード自体がややトーンダウンした印象があります。
多くのWebサービスが登場する中、2008年に大きな驚きを提供したのがMicrosoft社がOfficeのWeb版を提供するというニュースでした。これはカリフォルニア州ロサンゼルスにおいて開催されたProfessional Developers Conference 2008(http://www.microsoftpdc.com/)の中で発表されたもので、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteの4製品の軽量版をXHTML+AjaxベースのWebアプリケーションとして提供し、Internet Exolorerだけでなく、FirefoxやSafariといった主要なWebブラウザで利用できるようになるとのことです。
なお、Webブラウザ版はあくまでOfficeの軽量版であり、クライアント版のすべての機能を利用することができるというわけではないようです。今後もクライアント版が中核の製品として位置づけられており、Webブラウザ版は単独のサービスとしてだけではなく、クライアント版との連携によって、よりOfficeの活用の幅を広げたいという狙いもあるものと思われます。Webブラウザ上で利用可能なオフィススイートとしてはすでにGoogleドキュメント(http://www.google.com/google-d-s/hpp/hpp_ja_jp.html)などが大きく先行していますが、Webブラウザ版MS Officeがどれだけ追い上げることができるのかも興味深いところです。