意外と使えるUML 2

3. オブジェクト図による表現

3. オブジェクト図による表現

飲料水の商品スペックと在庫商品の関係を明らかにするために、まずは具体的な例を挙げて考えてみましょう。オブジェクトの具体的な例を表すには、UMLのオブジェクト図が適しています。オブジェクト図は、ある瞬間におけるオブジェクトをスナップショットとして表します。

図2: 飲料水のオブジェクト図(クリックで拡大)

 

図2は、具体的な飲料水の商品の実体を、1つ1つオブジェクトとして表わしたオブジェクト図です。図をみると、商品名、内容量、価格は、飲料水の商品スペックのデータであることが分かります。一方、賞味期限は、オブジェクトごとに持つデータであることが分かります。

上記を考慮し、もう1度オブジェクト図で、飲料水の商品スペックと在庫商品の関係を整理してみましょう(図3)。

図3: 飲料水の商品スペックと在庫商品のオブジェクト図(クリックで拡大)

 

図3のオブジェクト図では、四角形で表した各オブジェクト*1に、具体的なデータを設定しています。四角形の上段には、オブジェクトの識別名を、下段には、設定されているデータを記述しています。関係するオブジェクト間には、関係線(リンク)を引いています。なお、UMLの表記法に関する詳細な説明は割愛します。

  • [*1] UMLでは、オブジェクト図に登場するオブジェクトを、インスタンス・スペシフィケーション(instance specification)と呼びます。

このオブジェクト図で注目して欲しいのは、オブジェクト間の数的な関係についてです。図3から、在庫商品のオブジェクトは、必ず1つの商品スペックのオブジェクトと関係していることが分かります。一方、「おーっとお茶」のように、どの在庫商品のオブジェクトとも関係していない商品スペック・オブジェクトがあります。これは、「おーっとお茶」の在庫が無いことを表しています。在庫がないので、図2では表現されていませんでした。

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