ミニ四駆の改良と基礎的なプログラミングに挑戦する
Pythonでミニ四駆を制御する
ライブラリを使うと簡単にPythonでミニ四駆を制御できます。pyserialというライブラリを使用します。Macをお使いの方はすでにPythonの環境が整っています。easy_installかpip installコマンドを使って、pyserialをインストールします。
sudo easy_install pyserial
この方法だとシステムにpyserialがインストールされてしまいます。もし、環境を別に分けたい場合は、virtualenvを使ってください。ここでは本筋から外れるので、virtualenvに関する説明は省きます。
まずは、Pythonのインタラクティブシェルからミニ四駆を制御してみます。第5回の記事「Arduinoを始めよう!(3)Bluetooth編」を参考に、Macのシステム設定からMacとミニ四駆を接続します。その際、ターミナルでのscreenコマンドは不要です。代わりに、Pythonのインタラクティブシェルとpyserialを使います。
>>> ser = serial.Serial('/dev/tty.FireFly-AD3B-SPP', 115200, timeout=1) >>> ser.write('f') >>> ser.write('b') >>> ser.write('s')
/dev/tty.FireFly-AD3B-SPPの部分は、環境によって異なるので注意が必要です。screenコマンドを使うときに入力したパスと同じものを使用します。これで完成ですが、ミニ四駆は制御できたでしょうか。前進、後退、その後停止すれば成功です。これが出来れば、複雑な命令を送り、ミニ四駆を制御することができます。
#! /usr/bin/env python from time import sleep def main(): serial.Serial('/dev/tty.FireFly-AD3B-SPP', 115200, timeout=1) direction = True for i in range(10): ser.write('f' if direction else 'b') direction = not direction sleep(1) ser.write('s') if __name__ == '__main__': main()
上記は一定時間ごとにミニ四駆の前進と後退を繰り返させるプログラムです。5回繰り返すと自動で停止します。このミニ四駆にはセンサーが搭載されていないので、一定時間ごとに何かしらの処理をすることしか出来ません。しかし、コースの周りにカメラを設置したり、ミニ四駆本体にセンサーを設置することで、これらの入力からフィードバックを受け取り、より高度な制御が出来るようになります。これが出来ればGPグランプリも楽勝です。が、もちろん、レギュレーション違反です。
これはPyCon JP 2012で筆者がミニ四駆のセッションを行ったときの動画です。ここではラップタイムを計測し、Windows Azure上のサーバにデータを送信しています。ここではミニ四駆に対してこのデータはフィードバックしていませんが、これを行うこと自体は簡単です。例えば、ラップタイムの計測が終わったら自動でミニ四駆を停止させる、ラップタイムが遅ければミニ四駆の速度を上げる、などこのデバイス一つで色々と夢が広がります。ちなみにラップタイムを計測するプログラムと、解説したスライドは以下で公開しています。
基礎を押さえれば、Python以外でもクライアントを書くのは簡単です。ミニ四駆とシリアル通信できるライブラリがあれば、どんな言語でもクライアントを簡単に書くことができます。もちろん、Androidを始めとするスマートフォンでも制御が可能です。
あなたのミニ四駆の可能性は広がりましたか?ミニ四駆の連載はこれで終わりですが、ここで解説したことを踏まえて、自分なりにミニ四駆をカスタマイズしてみてください。