第12回:OSSのプロがいなくても大丈夫必要なソフトの情報はこうして探す(後編) (2/3)

オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第12回:OSSのプロがいなくても大丈夫必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
著者:イーシステム  芝 国雄   2006/7/5
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フレームワークの設計思想を理解する

   Javaでアプリケーション開発を経験したエンジニアであれば、何かしらのフレームワークを使った経験があるだろう。現在、Javaのフレームワーク製品は、ベンダが販売しているものもあわせると相当な数になる。どの製品も、用途をあらかじめ想定して設計されている。つまり製品を理解することは、その製品の仕様を把握することと同義だといえるだろう。それは実装する時のルールであったり、拡張する時のルールであったりする。
導入実績、稼働実績をチェックし、評価版があれば試用して適材適所を判断する

   フレームワークには、得意分野と不得意分野がある。適用領域をあらかじめ想定して設計されているので、適材適所を考えることも大切だ。こうしたポイントは、導入実績や稼働実績から、ある程度判断できるが、評価版が提供されている場合は試用して判断すべきだろう。また製品紹介のセミナーに参加したり、個別に製品紹介の場を設けてもらうことも望ましい。


必要な機能の有無、カスタマイズの可否、他のフレームワークとの連携の可否を把握する

   フレームワークを選定する際は、そのフレームワークでは提供されていない機能を追加(カスタマイズ)できるか、またどのように追加作業するのかを確認する必要がある。

   そして、フレームワークをカスタマイズする場合に、完璧を求めてはいけない。70点〜80点くらいでよしとするくらいの気持ちが大事だ。

   フレームワークに多くの機能を持たせ過ぎると、柔軟性がなくなるばかりでなく、煩雑になり理解できなくなる恐れがある。フレームワークを利用する目的は、システム開発の生産性の向上であり、完璧なフレームワークを開発することではない。


「属人性のジレンマ」を考える

   読者の皆さんは、「属人性」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

   これは、ソフト開発の世界では「その開発者に依存した能力」と解釈できる。その開発者でなければ書けなかったり、メンテできないプログラムコードは「属人性が高い」となるわけだ。

   属人性が高いということは、ソフト開発ではあまり歓迎されない。

   そのため、属人性を低くしたり、排除するために標準化という動きがとられる。

   これにより、プログラムコードの品質を一定以上に保ち、可読性を高め、メンテナンス性を向上し、結果的にシステム開発の生産性を上げることにつながる。

   フレームワークの導入目的の1つにも、属人性の低減があげられる。それは言い換えると、「誰にでもできるようにすること」だ。誰にでもできるようになると、人月単価は下落する。

   また、優秀な技術者にとっては、退屈な仕事になるかも知れない。すると、より高収入や能力を活かせる仕事を求めて、優秀な開発者の流出がはじまる恐れもでてくる。

   だが、属人性が高いとシステム開発の生産性は向上しない。このジレンマを感じるのは私だけだろうか?

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イーシステム株式会社 芝 国雄
著者プロフィール
イーシステム株式会社  芝 国雄
グプタ事業部 部長
1995年、日本グプタ(現イーシステム)入社。米グプタ社製品の統合開発ツールの「Team Developer」、RDBMSの「SQLBase」といった製品の日本語化をはじめ技術支援や販売、マーケティング業務に従事。主に、ユーザ企業のシステム開発の現場で、システムの設計に関わる事前調査や助言などの上流工程から、プログラミング時のトラブルシューティングまで、幅広く支援していた。2000年4月、携帯電話を活用したワイヤレスソリューション事業の立ち上げに従事。2001年、グプタ事業に専念し、現在に至る。


INDEX
第12回:OSSのプロがいなくても大丈夫必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
  はじめに
フレームワークの設計思想を理解する
  生産性向上の評価は競合他社を対象にする
オープンソースの適用可能性を示す
第1回 ユーザ企業におけるOSS浸透のカギはメインフレーム世代のSE
第2回 DB管理ツールを例にOSSの現在の実力を診断する
第3回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その1
第4回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
第5回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
第6回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その4
第7回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
第8回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
第9回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
第10回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(後編)
第11回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(前編)
第12回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
第13回 クライアントのOSとしてLinuxを検証する
第14回 バッファオーバーフローとサーバ側のセキュリティ対策を考える

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