仮想化技術でロードバランシングを知る

2006年6月26日(月)
平 初

ケーススタディ「続クラスタリングサーバ」

   前回は負荷分散環境のクラスタリングサーバ部分を、仮想化技術で実現する方法について説明しました。しかし、クラスタリングサーバだけでは負荷分散のテストができません。

   また、前回ではアプライアンスタイプのロードバランサを想定していましたが、ロードバランサはすぐに用意できるものではなく、テストを行うことが難 しい場合があります。そこで今回は、Linux上で動く簡易的なロードバランサ「Pen」を用いて負荷分散環境(図1)を実現させます。


負荷分散環境
図1:負荷分散環境

ロードバランサ「Pen」

   Penは、TCPプロトコルを使ったとてもシンプルなロードバランサで、オープンソースソフトウェアでGPLライセンスの基に提供されています。シ ンプルながらWebインターフェースを備えており(注1)、リモートから状態を確認することもできます。ロードバランサの仕組みを把握するのにちょうどよ いので選びました。



※注1:
PenのWebインターフェース「penstats」はCGIで提供されています。動かすには、「Apache」や「lightttpd」「TinyHTTPd」などといったCGIが動作可能なHTTPサーバが必要です。

ロードバランサを仕上げる

   Penは非常にシンプルな構造のロードバランサなので、さっくりと仕上げてしまいましょう。ソースコードから導入する場合、プログラムは「/usr/local/bin」あたりにインストールしてください。




   Penは、対象サーバのIPアドレス、ポート番号、接続数などの情報をコマンド引数で渡すため一行のコマンドで記述できますが、何度も入力するのは大変なので簡単な起動スクリプトをシェルスクリプトで書いてしまいましょう。

      Pen起動スクリプト pen-init.sh


Pen起動スクリプト pen-init.sh
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大表示します)

   起動スクリプトの中では以下の項目を指定し、Penを起動しています。


  • リクエストを受け入れるのはポート80
  • コントロールポートはローカルホストのポート10080
  • アルゴリズムは単純なラウンドロビン処理
  • 最大接続するは500コネクション
  • バックエンドのサーバは5台
  • 待ち受けるバックエンドのサーバのIPアドレス
表1:Penの設定項目
レッドハット株式会社

サービス事業統括本部 ソリューション・アーキテクト部
ソリューションアーキテクト&クラウドエバンジェリスト

商社系システムインテグレーター、外資系ハードウェアベンダーを経て、現在、レッドハット株式会社にてクラウドエバンジェリストとして活躍。2006年に仮想化友の会を結成し、日本における仮想化技術の普及推進に貢献した。

主な著書に「KVM徹底入門」(翔泳社)、「Xen徹底入門」(翔泳社)、「100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著」(翔泳社)、「Red Hat Enterprise Linux 7がやってきた」(日経ITpro)がある。

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