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進ちょく管理と収支管理が中心

進ちょく管理と収支管理が中心

「プロジェクト管理」という業務のカバー範囲は、どこからどこまでなのだろうか。同業務には、どういった機能が求められるのだろうか。

一般的に、プロジェクト管理に求められる主な機能は2つある。(1)1つは、工程・スケジュール管理、進ちょく管理である。グラフなどを使って、複数のタスク(仕事)の時間軸を表現する。(2)1つは、プロジェクトの収支管理、予実管理、投資対効果の分析などである。この上でさらに、(3)人や組織のワークフロー管理、が加わる。

これらの中核機能のうち、どの機能に重きを置くかによって、プロジェクト管理ソフトの性質が変わる。

要求機能を体系化したPMBOK

プロジェクト管理の機能を考えるうえで忘れてはならない基準がPMBOKである。PMBOKでは、プロジェクトの立ち上げから完了までの5つのプロセスを定めるとともに、対象となる知識領域ごとに9個の機能をうたっている。

具体的には、PMBOKが挙げている機能エリアには、以下の通り。(1)統合管理、(2)スケジュール管理、(3)コミュニケーション管理、(4)スコープ(目的と範囲)管理、(5)品質管理、(6)リスク管理、(7)コスト管理、(8)調達管理、(9)組織(人的資源)管理、である。

表2: PMBOKが定義している、プロジェクト管理業務のフィールド
(SI Object Browser PMの機能との対応)

PMBOKの知識エリア 具体的な機能
統合管理 プロジェクト登録・照会、電子承認
スケジュール管理 スケジュール設定、進ちょく管理
コミュニケーション管理 Q&A管理
スコープ管理 成果物登録、明細登録
品質管理 品質基準登録、テスト予実、障害管理
リスク管理 リスク管理、課題管理
コスト管理 見積/実行予算、原価管理
調達管理 委託先管理、契約管理
組織管理 プロジェクト・メンバー登録、組織変更

PMBOKの9個の知識領域をカバーするなど、プロジェクト管理に求められる機能を網羅するソフトの代表が、SI Object Browser PMである。「プロジェクト管理のERP」をうたっており、「原価計算」と「進ちょく管理」の両面で強みがあるとしている。

進ちょく管理は、要求度が高い代表的な機能

(1)先述した通り、一般的にプロジェクト管理に求められる主な機能の1つが、進ちょく管理である。タスクを洗い出すとともに、ガント・チャートなどを用いて、タスクの流れを時間軸で管理する。この上で、タスクに合わせて人材の割り当てや人件費の実績などを管理する。

プロジェクトの計画時に、タスクを洗い出してタスク・リストを形成する手法の1つが、WBS(Work Breakdown Structure)である。プロジェクトを細かなタスクに階層的に分割して、それぞれのタスクごとに成果物などを洗い出す。

ほぼすべてのツールが、進ちょく管理機能を、標準またはオプションで用意している。MA-EYESの場合は、収支計算と管理会計を機能の主軸としているため、WBSベースの進ちょく管理機能はオプションで追加するかたちとなる。

図1: WBSとガント・チャートによる進ちょく管理の画面例(Microsoft Project 2010)

図1: WBSとガント・チャートによる進ちょく管理の画面例(Microsoft Project 2010)(クリックで拡大)

Microsoft Project 2010は、進ちょく管理を機能の中核としている。エディションに応じて、PMがスタンドアロンで利用するStandard版から、チーム・メンバーに仕事をアサイン可能なProfessional版、プロジェクト・メンバーによる進ちょく実績の登録が可能なServer版を用意する。Server版では、全社規模での人件費のROI(投資対効果)測定など業務視点に立ったレポート機能も提供する。

もともとはMicrosoft Office製品群のカテゴリに含まれていたように、Office連携に強みがある。また、PMBOKの知識領域のうち調達管理を含まないなど、ある程度機能を絞り込むことによって、比較的安価な価格を維持している。なお、チーム開発や全社規模のプロジェクト管理には、情報共有・ワークフロー基盤ソフトであるSharePointの機能を利用する。

シェアの高さ(同社によると出荷本数ベースのシェアで8割)やグローバル・ワイドで使われていることなどから、特にオフショア開発などの海外プロジェクトに強いとしている。海外プロジェクトに向いた機能として、プロジェクトを入れ子構造で管理する機能を備える。シェアが高いことから、同ソフトのファイルを読み取って連携可能なソフトウエアも多いという。

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