プレイヤーの身体パーツを判別するKinectサンプル

2012年8月22日(水)
薬師寺 国安

ロジックコードを記述する

リスト2 (MainWindow.xaml.vb)

Option Strict On
Imports Microsoft.Kinect

Class MainWindow

1個のKinectセンサーを表すKinectSensorクラスのメンバ変数Kinectを宣言しておきます。

  Dim Kinect As KinectSensor

プレイヤーごとのスケルトンデータを表すSkeletonクラス型のメンバ変数mySkeletonを宣言しておきます。

  Dim mySkeleton As Skeleton

整数四角形の幅、高さ、および位置を表すInt32Rect構造体のメンバ変数myScreenImageRectを宣言します。領域の指定に使用されます。

  Dim myScreenImageRect As Int32Rect

Short型の配列メンバ変数myDepthPixelDataと、Byte型の配列メンバ変数myColorPixelDataを宣言しておきます。
※深度情報は、1ピクセルあたり2バイトのshort型。画像情報はフルカラーなので1ピクセルあたり4バイトのbyte型です。

  Dim myDepthPixelData As Short()
  Dim myColorPixelData As Byte()

右手、左手、頭の、Kinectセンサーからの距離の値を格納するSingle型のメンバ変数を宣言しておきます。

  Dim rightZ As Single
  Dim leftZ As Single
  Dim headZ As Single

ピクセル深度を格納するためのDouble型のメンバ変数myDepthを宣言しておきます。

  Dim myDepth As Double

書き込みおよび更新が可能なBitmapSourceを提供する、WriteableBitmapクラス型のHumanImageプロパティを定義しておきます。

  Property HumanImage As WriteableBitmap

ウィンドウが読み込まれた時の処理

ピクセル深度の値を1000(1m)で初期化しておきます。よってKinectセンサーから1m離れて試す必要があります。Kinectデバイスを取得し、ビットマップデータを初期化し、プレイヤーの画層(レイヤー)を初期化するinit_kinectプロシージャを実行します。

構成ツリーのオブジェクトがレンダリングされる直前に発生する、CompositionTarget.Renderingイベントにイベントハンドラを指定します。イベントハンドラ内では以下の処理を行います。

OpenNextFrame(100)メソッドで、KinectからRGBデータの次のフレームを開きます。次のフレームがなかった場合のタイムアウトを100ミリセコンドと指定しています。
同様に、Kinectから深度データの次のフレームを開きます。次のフレームがなかった場合のタイムアウトを100ミリセコンドと指定しています。
背景をマスクして距離データを取得するRenderScreenプロシージャを実行します。引数として、Kinectのストリーミング用RGBデータのバッファと深度データのバッファを含んでいる、colorFrameとdepthFrameを渡しています。

DataContextプロパティにMainWindow自身のインスタンスを指定します。この処理を行わないとプレイヤーが表示されませんので注意してください。

  Private Sub MainWindow_Loaded(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles Me.Loaded
    myDepth = 1000 
    init_kinect()
  
    AddHandler CompositionTarget.Rendering, Sub(renderSender As Object, renderArgs As EventArgs)
      Using colorFrame As ColorImageFrame = Kinect.ColorStream.OpenNext
        Using depthFrame As DepthImageFrame = Kinect.DepthStream.OpenNextFrame(100)
          RenderScreen(colorFrame, depthFrame)
        End Using
      End Using
        End Sub
    DataContext = Me
  End Sub

Kinectデバイスを取得し、ビットマップデータを初期化し、プレイヤーの画層(レイヤー)を初期化する処理

Kinectセンサーを取得します。DepthStream.Enableメソッドで距離カメラの表示サイズを640×480、1秒あたり30フレームで、動作を開始します。同様にColorStream.Enableメソッドで、RGBカメラを、RGBフォーマット、表示サイズ640×480、1秒あたり30フレームで、動作を開始します。プレイヤーおよびスケルトンの動作も開始します。

AddHandlerメソッドでRGBカメラ、距離カメラ、スケルトンのフレームが更新されたことを通知するイベント、AllFramesReadyにイベントハンドラを追加します。骨格生成を行う場合は、深度センサー(距離カメラ)を有効にする必要があります。Dim depthStream As DepthImageStream = Kinect.DepthStreamで、距離カメラの処理を行うクラスのインスタンスを取得します。Short配列変数myDepthPixelDataに、距離カメラのピクセルデータの、バイト長分の配列を作成します。640×480の表示サイズの場合は、myDepthPixelData=New Short(307200-1){}分の配列を確保することになります。-1しているのは配列のインデックスは0から始まるためです。

バイト配列変数myColorPixelDataに、RGBカメラのピクセルデータのバイト長分の配列を作成します。

WriteableBitmapクラス型のHumanImageを下記の書式で初期化します。

New WriteableBitmap(距離カメラのフレーム幅,距離カメラのフレーム高さ, ビットマップの水平値, ビットマップの垂直値,ビットマップのピクセルフォーマット,ビットマップのビットマップパレット)

「ビットマップのピクセルフォーマット」に指定する、PixelFormats.Bgr32は、Bgr32 ピクセル形式を取得します。Bgr32 は、bits per pixel (BPP) が32のsRGB 形式です。各カラー チャネル (青、緑、および赤) に割り当てられるbits per pixel (BPP) は 8 です。これで、HumanImageオブジェクトの表示形式が設定されます。

HumanImage = New WriteableBitmap(640, 480, 96, 96, PixelFormats.Bgr32, Nothing)
と指定しても同じです。

IntRect32構造体のmyScreenImageRectを下記の書式で初期化し、領域を指定します。

New IntRect32(新しいInt32Rect のインスタンスの X座標,新しいInt32Rect のインスタンスの Y座標, 四角形の幅を指定した新しい Int32Rect のインスタンスの幅, 四角形の高さを指定した新しい Int32Rect のインスタンスの高さ)

「新しいInt32Rect のインスタンスの X座標」と「新しいInt32Rect のインスタンスの Y座標」には0を指定します。「四角形の幅を指定した新しい Int32Rect のインスタンスの幅」には、HumanImageオブジェクトの幅を指定し、「Int32Rect のインスタンスの高さ」には、HumanImageオブジェクトの高さを指定します。

結局は、
myImageRect = New Int32Rect(0, 0, 640, 480)
と指定しても同じことです。

Kinectを動作させます。

Private Sub init_kinect()
    Try
      If KinectSensor.KinectSensors.Count = 0 Then
        MessageBox.Show("KINECTが接続されておりません。")
        Exit Sub
      Else
        Kinect = KinectSensor.KinectSensors(0)
      End If
 
      Kinect.DepthStream.Enable(DepthImageFormat.Resolution640x480Fps30)
      Kinect.ColorStream.Enable(ColorImageFormat.RgbResolution640x480Fps30)
      Kinect.SkeletonStream.Enable()
 
      AddHandler Kinect.AllFramesReady, AddressOf kinect_AllFramesReady
      Dim depthStream As DepthImageStream = Kinect.DepthStream
      myDepthPixelData = New Short(Kinect.DepthStream.FramePixelDataLength - 1) {}
      myColorPixelData = New Byte(Kinect.ColorStream.FramePixelDataLength - 1) {}
      HumanImage = New WriteableBitmap(depthStream.FrameWidth, depthStream.FrameHeight, 96, 96, PixelFormats.Bgr32, Nothing
 
      myScreenImageRect = New Int32Rect(0, 0, CInt(Math.Ceiling(myHumanImage.Width)), CInt(Math.Ceiling(myHumanImage.Height)))
      Kinect.Start()
    Catch ex As Exception
      MessageBox.Show(ex.Message)
      Exit Sub
    End Try
  End Sub

背景をマスクし距離データを取得する処理

RGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すcolorStride変数にcolorFrame.BytesPerPixel *colorFrame.Width と指定します。RGBカメラの1ピクセルあたりのバイト数を取得して、RGBカメラのフレームの幅で乗算します。RGBカメラの1ラインあたりのバイト数が取得できます。
32ビットを1バイト(8ビット)で除算すると4バイトそれにcolorFrame.Widthの640を乗算します。4×640=2560となります。直接この値を指定しても問題はありません。

同様に、screenImageStride変数に、colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Widthと指定します。

これも4×640=2560となり、直接この値を指定しても問題ありません。

Byte型の配列変数bytePlayer1変数を、距離カメラのフレームの高さと、距離カメラの1ラインあたりのストリームバイト数を保持しているscreenImageStrideで乗算した値で初期化します。
つまり、depthFrame.Heightの480に、screenImageStrideに設定した、colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Width (4(バイト)×640)の値である2560を乗算した(480×2560)1228800-1の値を作成します。この値で初期化されたバイト配列型であるbytePlayer1オブジェクトを作成します。

CopyPixelDataToメソッドで、距離カメラのピクセルごとのデータを取得します。同様にRGBカメラのピクセルごとのデータも取得します。これで、実際のデータを取り出します。
CopyPixelDataToメソッドは、ピクセルデータの長さを使用して、事前に割り当てられた配列へ、ピクセルごとの深度データやRGBデータをコピーします。

繰り返し変数depthYで、0から距離カメラのフレームの高さ分反復処理を行います。反復処理内では以下の処理を行います。
depthPixelIndex変数に1ずつ加算される変数depthXの値と繰り返し変数depthYに距離カメラのフレーム幅(640)を乗算した値を加算して、格納しておきます。

Init_kinectプロシージャ内で確保された、myDepthPixelDataのShort型の配列で、depthPixelIndex変数に対応する値と、距離カメラのフレームデータから、PlayerIndexBitmaskでビットマスクに含まれているプレイヤーIDとで論理積演算を行います。距離カメラのピクセルデータを反復処理し、プレイヤーのインデックス値を抽出します。

ビット演算 AND は、2 つのビットを比較し、両方のビットの値が 1 の場合にのみ、値 1 を結果に代入します。そうでない場合は、結果のビットに 0 をセットします。AND 演算子は、その他全てのビット演算子と同様、オペランドとして数値のみを取ります。And演算子に付いては下記のURLを参照してください。
→ And 演算子(msdn)

また、
playerIndex = myDepthPixelData(depthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmask
でplayerIndexに入る演算結果については、図3を参照してください。

RGBカメラのX-Y座標データを表す、ColorImagePointクラスのcolorPointを宣言し、MapDepthToColorImagePointで、距離カメラの座標に対応するRGBカメラの座標を取得します。
深度情報を実画像に変換してくれます。書式は下記の通りです。

KinectSensor. MapDepthToColorImagePoint(距離カメラの フォーマット,距離カメラのX 座標,XとY座標の距離データ(Short型),RGBカメラのフォーマット)

変数colorPixelIndexに、RGBカメラのX座標とRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を取得して乗算し、RGBカメラのY座標とRGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すcolorStrideを乗算して、これらを加算した値を格納しておきます。colorPixelIndex = (colorPoint.X * 4) + (colorPoint.Y * (4*640))としても同じです。

プレイヤーが存在し、プレイヤーの深度データが必要な場合は、

depth = myDepthPixelData(depthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth
と記述して、myDepthPixelData(depthPixelIndex) をDepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth 分右へシフトします。

PlayerIndexBitmaskWidthフィールドは、プレイヤーインデックスビットマスク内の、幅またはビットの数を表します。これはプレイヤーインデックスを格納する深度データの、下位ビットの数を表します。

つまり、3ビット(DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth分)右へシフトするとプレイヤーの深度のデータだけを取得できます。深度のデータが1000(1m)より小さい場合は、プレイヤーを抽出します。
上記は、ビットシフト演算を使用しています。ビットシフトはその名の通り、ビット列をそのまま左右に移動させる演算です。

expression1 >> expression2
expression1
>> は expression1 を expression2 だけ右にシフトします

expression1 と expression2 には、それぞれ式を指定します
ビットごとの右シフト演算子 (>>)やビットごとの左シフト演算子 (>>)については、下記のURLを参照してください。

ImageIndexに対応する、Byte型の配列変数である距離データを画像化していきます。

Kinectセンサーからの右手の距離に1000を乗算した値が、myDepthメンバ変数の値(1m)より小さかった場合は「これは右手です。」と表示します。左手の距離が1mより小さかった場合は、「これは左手です。」と表示します。左手の認識精度が悪い場合がありますので、左手をきっちりと前方に付きだし表示させてください。右手と左手の距離が1mより小さかった場合は「これは両手です。」と表示します。

頭部の距離が1mより小さかった場合は「これは頭です。」と表示します。身体の一部が、距離カメラとの距離の1m以内にある場合は、その一部を表示して部位の名称を表示します。ここで使用している右手、左手、頭部の距離カメラとの距離は、GetCameraPointプロシージャ内で取得していますので、後ほど解説いたします。

変数depthXを1ずつ加算し、ImageIndex変数にRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を加算していきます。

ImageIndex = ImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel

ImageIndex = ImageIndex + 4
としても同じです。

BytesPerPixelは1ピクセルあたりのバイト数を取得しますので、1ピクセルは8ビットでフルカラーの場合は32ビットになるため、32÷8=4バイトとなり、colorFrame.BytesPerPixelは4と同じになります。
この値が、Byte型の配列変数(bytePlayer1)のインデックスに対応します。下位3ビットのプレイヤーIDを指し示す値です。

WriteableBitmap型の変数HumanImageにWritePixelsメソッドで、ビットマップの指定した領域内に更新したデータを格納します。書式は下記の通りです。このHumanImageプロパティの値を、NameがmyHumanImageというImageコントロールのSourceプロパティにバインドします。

WritePixels(更新するWriteableBitmapの四角形,ビットマップの更新に使用するピクセル配列,pixel内の更新領域のストライド,入力バッファのオフセット)

  Private Sub RenderScreen(colorFrame As ColorImageFrame, depthFrame As DepthImageFrame)
    If Kinect Is Nothing OrElse depthFrame Is Nothing OrElse colorFrame Is Nothing Then
      Return
    End If
    TextBlock1.Text = String.Empty
    Dim depth As Integer = 0
    Dim depthPixelIndex As Integer
    Dim playerIndex As Integer
    Dim colorPixelIndex As Integer
    Dim colorPoint As ColorImagePoint
    Dim colorStride As Integer = colorFrame.BytesPerPixel * colorFrame.Width
    Dim screenImageStride As Integer = colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Width
 
    Dim ImageIndex As Integer = 0
    Dim bytePlayer1 As Byte() = New Byte(depthFrame.Height * screenImageStride - 1) {}
 
    depthFrame.CopyPixelDataTo(myDepthPixelData)
    colorFrame.CopyPixelDataTo(myColorPixelData)
 
    For depthY As Integer = 0 To depthFrame.Height - 1
      Dim depthX As Integer = 0
      While depthX < depthFrame.Width
        depthPixelIndex = depthX + (depthY * depthFrame.Width)
        playerIndex = myDepthPixelData(depthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmask
        colorPoint = Kinect.MapDepthToColorImagePoint(depthFrame.Format, depthX, depthY, myDepthPixelData(depthPixelIndex), colorFrame.Format)
        colorPixelIndex = (colorPoint.X * colorFrame.BytesPerPixel) + (colorPoint.Y * colorStride)
 
        If playerIndex <> 0 Then
          depth = myDepthPixelData(depthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth 
          If depth < myDepth Then
            bytePlayer1(ImageIndex) = myColorPixelData(colorPixelIndex)
            bytePlayer1(ImageIndex + 1) = myColorPixelData(colorPixelIndex + 1)
            bytePlayer1(ImageIndex + 2) = myColorPixelData(colorPixelIndex + 2)
  
            If rightZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは右手です。"
            If leftZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは左手です。"
            If leftZ * 1000 < myDepth AndAlso rightZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは両手です。"
            If headZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは頭です。"
          End If
        End If
        depthX = depthX + 1
        ImageIndex = ImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel
      End While
    Next
    HumanImage.WritePixels(myScreenImageRect, bytePlayer1, screenImageStride, 0)
  End Sub

  • プレイヤーの身体パーツを判別するKinectサンプル

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

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