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4Dプリントは形状が変わる?3Dプリントのその先とは

2017年11月13日(月)
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George OrwellやAldous Huxleyのような人たちに将来の技術の進歩について説明したところで彼らは信じないだろう。彼らが残した「ビッグ・ブラザー」や「すばらしい新世界」といった作品の世界観を現代のテクノロジーがあっという間に追い越してしまったからだけではない。かつては多くの時間や設備、資源と労力をかけて作られていたものを、我々は今では印刷で済ませてしまえるのだ。どうやってこれが可能になるのだろう?3Dプリントは世間を席巻しており、その勢いは衰える兆しがない。

ではこれまでにどんなことが成し遂げられたのだろう?

3Dプリントで作られた建造物

2015年、中国のWinSunという企業が3Dプリントで二つの建造物を建てた。これには工業廃棄物を再利用した建材が使われている。WinSunはこれを実現するためにCAD設計を利用して建材を配置するアームのコントロールを行った。壁は内部が空洞であり、強度を稼ぐためジグザグに組まれている。これにより建築で生まれる廃棄物を30-60%、工期を50-70%、人件費を80%削減することに成功している。

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3Dプリントで作られた食品

人工的な食べ物は今でも市場に多くあるが、印刷で作られた食べ物がこれまであっただろうか?粉末プロテインや炭水化物、砂糖を使って3Dプリンターで食べられる「肉の塊」が作り出せる。より経済的で効率のいい方法で食品を作り出すことで持続可能な食料環境を作り出すのがその狙いだ。

人工装具

4年前、コロラドの高校生が無料で使えるオンラインの3Dプリンターを使い、一通りの機能を備えた義手、義腕を作った。それ以来こうした人工装具は身近なものになり、個々に合わせたパーツのフィッティングやほぼ完全な機能の提供が可能になった。

例えば3Dプリントで作られる顎骨などはチタンの粉末からなる人骨に近い素材で作られている。移植手術を受けた人は術後数分で普通に喋れるようになるという。

上記に加え、拳銃やメディカル造形、顔面補綴物などもここ数年で印刷により作り出せるようになった驚きの一つである。

2018年には何が出てくるのか

カスタマイズされた制作物

3Dプリントが可能なもののほぼ全てはパーソナライゼーションが可能だ。医者や医療の専門家たちはすでに患者個人にカスタマイズされた人骨の代替物の作成に3Dプリントを利用している。また工業の世界では柔軟性に富んだ透明で鋼鉄より強度が高いグラフェンを使った3Dプリントを試みている。

ボストンに拠点を置くMarkforged社は先日、非常に強度を持つツールやパーツを印刷する、複合3Dプリント技術をリリースした。彼らのMetal X 3Dプリントシステムを使えば、完全な金属製部品が24時間以内にできあがる。このツールは特に製造業での時間とコストの削減に貢献すると彼らは謳っている。

ナノ印刷

ナノプリントは裸眼では見えない粒子を使う。原子数個分の大きさに過ぎないこれら粒子によって、電子工学は変革を迎えるかも知れず、現在は強力なバッテリーの制作やデバイスの処理能力を上げることなどが試されている。

さらにナノプリントは望遠鏡や顕微鏡の光学性能の向上のためにも用いられている。Nanowerk.comによれば「ナノセンサーで検知用コンポーネントを微細化することにより、顕微鏡の感度および走査速度を100倍まで高められる」という。

ロボットのアーム

ベルギーでは学生達が手話通訳を行うロボットアームを作っている最中だ。これが出てきた理由は手話通訳者が世界的に不足しているためである。今のところロボットはテキストを読み込み、それに指を使った手話に翻訳することができる。プロジェクトは道半ばだが、聴覚障害者コミュニティに大きなインパクトを与えることになるかもしれない。

4Dプリント

3Dプリントについて理解し始めたことかと思うが、これの先を行く4Dプリントが出てきている。これは何かというと、一般的には3Dプリントの一種だと捉えられているが、印刷された材質がその後、温度や湿度など周りの環境に合わせて変化するものを指す。

3Dプリントを取り巻くテクノロジーには常に驚かされる。2018年も引き続きこれはつづくだろう。そして次の驚きに備えよう。

CARA CHATELLIER
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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