徹底比較!!クラスタソフトウェア 7

RHCSによるThree Tiered LVS

RHCSによるThree Tiered LVS

   ここまで説明したIPロードバランサとフェイルオーバークラスタを組み合わせることで、図4のようなThree Tiered LVSを構築することが可能です。インターネット側から見るとIPアドレスが1つだけ存在するように見えますが、実際にはそのIPアドレスは2台のLVS により維持されます。


Three tiered LVS
図4:Three tiered LVS

   また、Server Poolに置かれた実サーバからはバックエンドにあるデータベースのIPアドレスも1つのみ存在するように見えますが、こちらもCluster Managerによって構成された2台以上のノードによって維持されています。

冗長ハードウェア構成

   こういった可用性を重視するシステムにおいては、個別のハードウェア構成に関しても十分な考慮が必要になります。

  • 電源の冗長化
  • 個別のホストのハードディスクのRAID化
  • メモリのエラー訂正機能
  • 2つのネットワークインターフェースで1つのIPアドレスを維持するボンディング
  • ファイバチャネルカードの冗長化とファイバチャネルスイッチの採用
    表1:可用性を重視するハードウェアの構成に必要なこと

       これらの項目のうち、ハードディスクのRAID化はOSによるソフトウェアRAIDが可能ですし、ボンディングの機能もRed Hat Enterprise Linuxに同梱されるbondingドライバによって提供されます。

    実装が大きく変更されたCluster Manager

       1つ前のバージョンであるRHCS3と比較すると、RHCS4ではCluster Managerの実装が大きく変更されています。構成する際に注意が必要な点を簡単にご紹介します。

    Quorumパーティションの有無

       RHCS3を含む一般的なクラスタソフトでは、各ノードの状態は共有ストレージ上のQuorumパーティションに保持されます。しかし先ほども説明 したように、RHCS4ではフェンスデバイスを用いてノードの状態を把握するため、Quorumパーティションが必要ありません。

    カーネルモジュール

       ロックの管理を行うDLM(Distributed Lock Manager)にはdlm-kernelパッケージ、クラスタ全体の管理を行うcmanにはcman-kernelパッケージが必要です。これらのパッ ケージはカーネルのバージョンに依存しますので、新しいカーネルを追加インストールする際には注意が必要です。

    設定ファイルの同期

       RHCS3ではクラスタの設定ファイルを修正する度に、ftpやscpなどで設定ファイルをもう一方のノードにコピーする必要がありました。それに対して、RHCS4ではccsdによって自動的に設定が同期されます。

       また設定ファイルの世代管理も可能になっており、もし設定変更後にサービスに不具合が発生したとしても、1つ前のバージョンの設定ファイルを適用し直すことが可能です。

    最後に

       RHCSに関して寄せられるご質問のうち、構築費用について最も多く問い合わせを寄せられるので、以下に構成例を提示して、締めさせていただきます。なお、価格は2005年11月現在のものとなりますので、最新の価格については是非問い合わせください。

    構成要素 製品名 税込価格 数量 小計
    LVS 2台 Red Hat Enterprise Linux ES \104,790 2 \209,580
    Red Hat Cluster Suite \71,400 2 \142,800
    実サーバ4台 Red Hat Enterprise Linux ES \104,790 4 \419,160
    合計 \771,540

    表2:IPロードバランサ構成例

    構成要素 製品名 税込価格 数量 小計
    ノード2台 Red Hat Enterprise Linux ES \104,790 2 \209,580
    Red Hat Cluster Suite \71,400 2 \142,800
    合計 \352,380

    表3:Cluster Managerによる2ノード構成例

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