イベント・セミナー2014 7

Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform

Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform

Red Hat社が提供するIaaS基盤「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(通称RHELOSP)」のロードマップが紹介されました。IcehouseベースのRHELOSP 5.0のHAクラスター構成に関する基本的な考え方もブレークアウト・セッションにて示されました。

RHELOSPのHA構成については、サミットの参加者とRed Hat社の技術者の間で様々な意見交換が行われました。展示ブース会場に設置されているパートナー・シアターでは、Red HatパートナーであるGroundWork社によるOpenStackの監視ノウハウについての紹介がありました。OpenStack向けのGUIベースの各種監視ツールが整備されつつあります。

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(左)次期IcehouseベースのRHELOSP5.0は、RHEL6.5よりも新しいバージョンかRHEL7がベースOSとして検討されている。また、RHELOSP4.0.xで高可用性アーキテクチャの導入も検討されている/(右)RHELOSP 5.0でのHA構成に関する技術討論が行われた。負荷分散にHA ProxyとPacemakerを組み合わせやMariaDBのGaleraレプリケーション、PacemakerによるCinderコントローラーのHA化構成等が紹介された
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Red Hatパートナーが展示ブース会場でプレゼンを行うパートナー・シアターでは、GroundWork社によるOpenStack環境の監視に関する技術が紹介された。OpenStack標準の監視機構Ceilometerでは、性能・障害監視が不十分であり、それを補う必要があるという

OpenStackの開発者や初心者向けに利用されるpackstackを手掛ける「RDO」の展示ブースでは、packstackを使ったOpenStackのインストールのデモが行われていました。RDOが提供するpackstackにより、1台のマシンで、OpenStackを簡単に試すことができるようになっています。

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(左)1台のRHEL/CentOSサーバーで稼働するOpenStack(通称RDO)の展示ブース。短冊ほどの大きさの導入および設定書が多くの参加者の目を引いていた/(右)OpenStack環境においてソフトウェア定義ネットワーク(SDN)を実現するOpenDaylightの紹介。写真はOpenStackとOpenFlowの関係図。HPはOpenDaylightのプラチナムメンバーでもある

OSSの分散ストレージ基盤ソフトウェア(Red Hat Storage, GlusterFS, Ceph)

自動車会社、映像関連企業、公共交通機関における分散ストレージ基盤ソフトウェア「Red Hat Storage」の事例が紹介されました。Red Hat Storageは、x86サーバーを大量に並べて一つの大きなストレージ基盤を構成するためのソフトウェアですが、すでにペタバイト級の本番システムで利用されていることがわかります。

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(左)自動車会社におけるRed Hat Storageの採用事例。次世代自動車から生成されるセンサーのデータが毎週200TB生成され、全体として5PBになるシステムにRed Hat Storageが採用されている/(右)映像関連企業における動画配信システムのRed Hat Storage採用事例。コミュニティが手掛けるGlusterFSから商用のRed Hat Storageへ乗り換えた例であり、顧客の課題である保守サポートの必要性が示されている
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列車を監視する地下鉄内の様々なセンサーからのデータを蓄積し、Red Hat Storageに格納する事例

Red Hat StorageのベースとなるGlusterFS、OpenStack対応のロードマップが示されました。Red Hat Storageユーザーの待望の機能であるスナップショットの採用が紹介されました。スナップショットはLVM2の技術が利用されています。また、Red Hat Storage、Ceph、Cinder、Swiftの様々な性能評価がRed Hatの技術者によって行われていることが紹介されました。クラウド基盤との連携については、OpenStack CinderやSwiftストレージ基盤にRed Hat Storageを対応させる取り組みが行われていることが示されました。

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(左)Red Hat Storageの基盤技術であるGlusterFSのロードマップその1。2014年6月以降に予定されているGlusterFS 3.6では、ボリューム単位のスナップショット、さらに3.7ではOpenStackの対応強化が検討されている/(右)Red Hat Storage 3.0では、ボリューム単位でのスナップショットの取得機能、Nagiosによる監視、Hadoopプラグインが検討されている。Red Hat Storage 3.1以降でレプリカ数3のサポートが検討されている
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Red Hat StorageにおけるOpenStack対応のロードマップ。管理ツールForemanおよびPuppetを使ったインストール、オブジェクト・ストレージSwiftへの対応も検討されている
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(左)libgfapi とFUSEアクセスにおけるスループットとIOPSの比較/(右)libgfapi を使ったGlusterFSとCephの性能比較
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ソフトウェア定義ストレージとしてのRed Hat StorageとHP ProLiant SL4540 Gen8の展示の様子

分散ストレージ基盤ソフトウェアの主な展示ブースとしては、GlusterコミュニティやCephを手掛けるinktank社、SwiftStack等があり、Glusterコミュニティやinktank社、SwiftStackのエンジニア達が来場者と様々な意見交換を行っていました。Red Hat Storageの基盤技術を手掛けるGlusterコミュニティのブースでは、設定、チューニング、Tipsが記載された資料と大量のTシャツが配られていました。

今回、inktank社のVP兼Ceph製品担当の技術者と会話を交わすことができました。OSSの分散ストレージ基盤ソフトウェアであるCeph自体は、ブロック・ストレージ、オブジェクト・ストレージ、FUSEアクセスの機能を有しており、比較的簡単に分散ストレージ基盤を導入・使用できるようになっていますが、Red Hat StorageとCephとの性能差については、そのストレージ基盤へのアクセスの仕方(利用方法)によって異なると語っていました。inktank社がRed Hat Summit 2014の展示ブースで配布していたCephのパンフレットは、以下のURLから入手できますので、一読をお勧めします。

参考:Cephのパンフレット(PDF)

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Cephの展示ブースの様子。inktank社の製品担当者が、GlusterFSとの比較やCephの利用法などの様々な情報を提供してくれた

オブジェクト・ストレージ基盤OSSのSwiftStack(スウィフト・スタック)は、WebUIで簡単に構築・管理が可能であることが訴求されていました。展示ブースで情報交換された来場者には、SwiftStack CEOのJoe Arnold氏著作のSwiftの本が無料で配られていました。

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(左)SwiftStackの展示ブースでは、Webブラウザーを使ったSwiftストレージ基盤の管理デモが実施されていた/右)SwiftStackの展示ブースにて無料で配布されていたSwiftStack社CEOのジョー・アーノルド氏著作の本

<明日は後編を紹介します。お楽しみに。>

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