ウェアラブル技術は人々の耳を通じて「ヒアラブル」というまったく新しい市場を開拓しようとしており、このコネクテッドデバイスの新カテゴリーは世界市場に爪痕を残そうとしているところである。
専門家らは、ヒアラブル市場が2020年までに160億ドルを突破すると見ている。その明るい見通しが期待される理由として、ヘッドフォンや補聴器などの、耳に関するデバイスの市場を攫っていくだろうという予測がある。
すでにヒアラブル製品の生産に舵を切っている大手電子メーカーもあり、思うよりもずっと速く世界の市場にこの新しい技術があふれることになるだろう。
なかでも興味を引くのは、ワイヤレスAirPodsを発表したAppleのヒアラブルへの動きだ。この新しいヘッドフォンはイヤフォンジャックを持たないiPhone 7とセットで発表され、オーディオファンの間で多くの議論を巻き起こした。
だが、Appleがワイヤレスヘッドフォンを押す動きの裏には、自社が持つ大きな顧客ベースをこのプロプライエタリな技術に向かわせようとする戦略がある。そして、Appleの革命的なイノベーションがまったく新しいテクノロジートレンドを開拓するというのは、これまでにもよく見られたケースだ。
Bluetoothのようなワイヤレス技術が組み合わさることで、ワイヤレスヒアラブルデバイスは家電市場に多大な影響を与えることになるかもしれない。これまで腕時計型でしか提供されていなかった性能が、今後はヒアラブルという形でさらなる進化を遂げていくのである。
ウェアラブルから“スクリーンがなくなるヒアラブル”へ
そうした変化により、これまでのウェアラブルにあったスクリーンがなくなり、代わりに、目ではなく耳から直接情報をインプットする時代に変わっていく。
ヒアラブルデバイスは音声アシスタント機能をも担い、AR(拡張現実)システムとも統合されるだろう。また、医療モニタリングやフィットネストラッキングの機能としても活躍が期待されている。なぜなら、これまでのウェアラブルでは体を動かしてしまうと心拍や血圧を計る際に数値がずれてしまうこともあったが、耳には一貫した血流量があるため、安定した測定がおこなえると言えるのだ。
また、ヒアラブルはハイエンドオーディオや雑音消去とも組み合わせることができるため、従来のヘッドフォンや補聴器の市場での立場を奪うことにもなるだろう。
DONAL POWER
[原文4]
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