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| OSSへ急激にシフトしはじめたベトナム | ||||||||||||||||
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アジアOSSシンポジウムがはじまった2003年初頭では、ベトナムはどちらかといえばOSS後進国でした。しかし周辺国の影響を強く受け、この数年でOSSに対する意識が急激に高まりました。今ではタイやマレーシアに肩を並べるまでに至っています。 2004年3月には、科学技術省が提案した「2004 - 2008年ベトナムにおけるオープンソースソフトウェアの活用と開発に関するマスタープラン」を首相が承認するという大きなニュースがありました。 このマスタープランによって、ベトナムでは2004年から5年間に渡って、OSSに関わる活動が推進されることに決まりました。具体的には、OSSトレーニングコースの実施や、OSS移行に関するカンファレンスの開催などがおこなわれています。 このようにベトナムでも政府が主導してOSS導入が奨励されているのですが、政府がOSSへの意識を高めるにつれて、いくつもの課題が明らかになってきたと関係者は語っています。 その課題とは、OSSへの理解がまだ十分ではなく、日本でもよく騒がれているようなOSSに対する誤解が蔓延していること、OSS普及を実際に実施するためのメカニズムがまだ検討過程にあること、OSS普及における政府・研究機関・大学・産業界の関係がまだ十分に整理されていないこと、ビジネスモデルやトレーニングもまだまだ不十分であることなどです。しかしこれらの課題はベトナムだけではなく、日本を含めたアジア共通の課題といえるでしょう。 |
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| ローカライゼーションからはじまる国々 | ||||||||||||||||
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ここまではOSSに関して活動が盛んな国々を紹介してきました。しかし、ネパール、ミャンマー、モンゴル、インドネシア、カンボジアといった国々は、これからOSSの利用やOSSコミュニティへの参加がはじまろうかという状況です。これらの地域、特に英語を話す人々が少ない地域では、ソフトウェアのローカライゼーション、あるいは多国語化(マルチリンガライゼーション)の現地語対応が鍵を握っています。 OpenOffice.orgは世界各国に拡がる開発者によって多国語化が急速に進められており、アジア諸国での普及に大きな影響力を与えるものと考えられています。次に述べるカンボジアのように、うまく戦略を立てれば急速な普及が期待できるでしょう。 |
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| カンボジアではWindows環境の不備がOSS普及を促進 | ||||||||||||||||
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カンボジアは、これまでにはまだ目立った活動実績はありません。しかし2004年後半から2005年にかけて急速にOSS整備をおこなうようになってきました。カンボジアでは2005年を「Year of the Penguin(ペンギン年)」と称し、急加速でOSS環境の整備に力を入れています。 カンボジアでは、OSS環境の整備を以下の4つのステップで考えています。 |
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すなわち、OSSを現地語化して、まずはWindows環境に入れてみる。その後、OS自体をLinuxに移行して、その上でアプリケーション環境を整備して定着させるという戦略です。 実は2005年3月の時点では、カンボジアの現地語であるクメール語版のWindowsはありません。ここが他の国と違い、OSSを普及させる上で戦略的に大きなアドバンテージになっているのです。オフィスソフトウェアではOpenOffice.orgにクメール語版が既にあるので、まずはそれを英語版Windows上で動作させることによって、OSSに対する理解を深めていこうという作戦です。 |
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| 海賊版対策がOSS推進のひとつの原動力 | ||||||||||||||||
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アジアの多くの国ではソフトウェアの知的財産保護に関する意識が高いとはいえず、いわゆる海賊版が横行しているという事実は否めません。フィリピンやインドネシアでは特にその傾向が強く、OSSを利用することにより海賊版問題を解決しようという考えが、OSS普及の意図のひとつとなっています。 インドネシアやフィリピンでも、いくつかの現地向けのLinuxディストリビューションが作られており、ローカルなユーザコミュニティは各都市で活動をおこなっているようです。これらの国々でもサーバの多くはOSSで稼動しており、徐々にですがOSSは着実に生活に浸透してきています。 これら国々は、まずはOSSを使うところから馴染んでいこうといった段階です。この先、国際的なOSSプロジェクトへの関与や、現地でOSSをベースとした研究開発といったステップに進むまでには、ベトナムの項で述べたようないくつもの課題を一つひとつ解決していく必要があるでしょう。 |
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