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| リッチクライアントの現状 | ||||||||||||
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「リッチクライアント」というキーワードを聞いて、読者の皆様はどう感じたでしょうか。よく耳にはするものの、現実には「本当にリッチクライアントは有効なのか?」と感じている方も多いのではないでしょうか。 おそらくは、騒がれているわりには未だに採用事例が少ない、周囲でも採用案件を聞かないといったところで、リッチクライアントに対して「果たして本当に『使える』技術なのか?」「どれだけ利用メリットがあるのか?」などの疑問を抱えているのではないでしょうか。 各リッチクライアント製品を吟味・検討している段階の方が多くいるかと思います。実際にフォーラムに参加した方々のアンケート結果を見ても、リッチクライアントを実際に提案・採用されている方より、「調査段階である」という回答の方が多かったのです。 しかしベンダー側の動向を見てみると、特徴的な機能をもった製品を次々とリリースし、バージョンアップも繰り返しており、確実に「クライアント側技術」の製品市場は拡大しています。 実際に、カールは2005年9月にCurl Ver 4.0、Laszlo Systemsは11月にOpen Laszlo 3.1、マクロメディアは来年にFlex 2などと主力ベンダーからは新しいバージョンのリリースが相次いで行われています。そして、サイオも2006年2月にIdbA R2.0をリリースします。 このように各ベンダーからのリリースが相次いでいるということは、各ベンダーともに「リッチクライアント市場が間違いなく拡大する」との読みがあることの裏づけだといえます。 これまでのリッチクライアントの採用事例を見ると、採用を決めた要因がC/SやWebシステムからの乗り換えであることがほとんどです。これに加えて、リプレイスや「Rimless Computing」のようなネットワーク時代における新しいコンセプトやシステム形態が生まれてくることを考えると、かなり大きい規模の市場となるため、ベンダーが注力するのは当然だといえます。 では、なぜ市場全体として「様子見」の段階にあるのでしょうか。 そもそも「リッチクライアント」の定義が明確にされていない、というのが原因の1つとして考えられます。つまり採用しようにも(あるいは提案しようにも)様々な製品があり、メリットや運用形態がよくわからないということが大きいのではないのでしょうか。 「リッチクライアント」という名前を冠していながら、プラグインとして提供されてブラウザの表現性や操作性を高めるもの(ブラウザ型)、あるいはブラウザにはまったく依存せずに専用エンジンを配布した上で利用するもの(スタンドアロン型)など、使用する技術・必要な環境などは各製品により様々であり、整理しきれていないのが現状です。 インターネット向けかイントラネット向けか、つまり「一般コンシューマー向け」か「業務利用向け」かというところで大きく条件は異なりますが、この部分も混同した状態で「リッチクライアント」と一括りにされているために正確な情報をつかむことができていない状態なのです。 また最近では、各ベンダーともバージョンアップのタイミングで新たなコンセプトを打ち出してきています。例えばマクロメディアの「SOC(サービス指向クライアント)」などは、リッチクライアントから拡大派生したコンセプトと捉えることができます。また、マイクロソフトはスマートクライアントという用語で展開していますが、さらに表現性を重視した「Expression」シリーズをリリースします。 様々な製品が乱立している中にベンダーが次々と新しいキーワードをだしてくるので、技術を利用・採用する側としては頭を抱えたくなるのは当然のことだといえます。しかし、各ベンダーがこれだけ力を入れている裏には、それだけ市場に訴えることができる、つまりリッチクライアントへの投資メリットを打ち出せる技術背景が整ってきたと捉えることができます。 製品リリースが続く中で、ベンダーが推し進めるリッチクライアントという技術のメリットが正しく市場に浸透すれば、一気に普及が進むことでしょう。 |
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