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How to Eclipse!
Eclipse3ではじめるJava Webアプリケーション開発

第8回:フレームワークの利用
著者:宮本 信二   2005/3/9
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フレームワーク

   今回は、Eclipse上でフレームワークを利用する一例を紹介します。ミスマッチの解決にフレームワークを利用するという説明をしましたが、フレームワークの機能はそれだけではなく、画面遷移、入力チェックなど、Webアプリケーション開発を効率化し、品質を向上(均一化によるトータルでの向上)させるいくつかの機能を提供します。

   Webアプリケーションのフレームワークにも多くのものがありますが、ここでは、次のJ2EE5.0に標準で組み込まれるJSFについて取り上げてみましょう。


JSFって?

   JSF(JavaServer Faces)は、Java Webアプリケーションフレームワークの仕様です。JSFはEoD(開発の簡単さ)を実現するための技術で、WebアプリケーションをGUIアプリケーションのように擬似的なイベントドリブンで扱えること、IDEなどのツールの利用を想定した設計になっていることが特徴です。

   JSFはまた、JSR127で標準化された仕様であり、今後広く使われていくことが期待されています。JSFでは、ビーン管理、画面遷移(ナビゲーション)、入力チェック(バリデーション)、変換(コンバージョン)、イベント制御などの機能を提供します。


JSFとStruts

   現在、最も広く利用されているフレームワークとしてはStrutsがあります。Strutsは、JSFと比較すると次のようになります。

  Struts JSF
実績 多い(安定してる、枯れている) 少ない(新しい)
設計 コントローラベース イベントドリブン、コンポーネントベース
仕様 Apacheオープンソース J2EE標準

表1:JSFとStrutsの違い


   Strutsは古くから存在し、幾分枯れたフレームワークです(といってもバージョンアップも行われ、Struts2では大きな機能拡張が行われるでしょう)。枯れている分、安定しており、また、経験者も多く安心して利用できます。一方JSFは、昨年リリースされたばかりのフレームワークで、後から出た分Strutsより機能は優れていますが、まだまだ叩かれながら発展している感はあります。

   Strutsは、コントローラサーブレットを中心とし、アクションを作成していくことでアプリケーションを作成します。StrutsではJSP上でカスタムタグを「利用」することで、リクエストの取得やレスポンスの展開を行います。一方JSFは、ステートレスなHTTPを擬似的にイベントドリブンのMVCアプリケーションとして扱います。JSFは、JSP上で「コンポーネント化」したカスタムタグにより、リクエスト、レスポンスを扱います。

   StrutsはApacheプロジェクトで開発されたオープンソース製品として広く利用されています。一方JSFはJ2EEの仕様として標準化され、より広く利用されることが期待されています。

   なお、StrutsとJSFはどちらも設計の中心人物が同じなので、幾分似通っています。また、どちらも、その他の重厚なフレームワークと比較するとシンプルで、比較的簡単に利用できるものとなっています。現時点ではStrutsを利用することが無難な選択ですが、今後JSFの利用は広まっていくでしょう。


EclipseでJSFアプリケーションの開発

   多くのフレームワークは、物理的には単にJARファイルと設定ファイルの集合なので、ファイルをWebアプリケーションの適切なディレクトリにコピーすれば利用できます(そうでないものもあります)。ここでは、Eclipseを利用して簡単なJSFアプリケーションを作成する例を示します。作成するのは、データベースのテーブルを一覧、編集するアプリケーションです(図2)。

作成するアプリケーション
図2:作成するアプリケーション


   なお、ページの都合もありますので、JSFの詳細については割愛させていただきます。また、簡単のため、前回に引き続きJava5のRowSetを利用して作成しています。


環境の準備

   まず、JSFを実行するのに必要なファイルを入手します。JSFは仕様ですので、JSFを利用したアプリケーションを開発するには、仕様に対応した実装が必要になります。実装には、SunのJSF RIや、オープンソースのApache MyFacesなどがありますが、ここではJSF RIを利用することにします。

   JSF RIはSunのJSFページ(http://java.sun.com/j2ee/javaserverfaces/index.jsp)からダウンロードできます。Downloadsのリンクから、ここではv1.1.01をダウンロードしました。ダウンロードしたファイルを適当なディレクトリに展開します。


プロジェクトの作成

   ここでは、前回から引き続き、Tomcatプラグインを利用して開発していきます。まず、新規にTomcatプロジェクトを作成します。ここではmyjsfという名前でプロジェクトを作成しました。

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著者プロフィール
宮本 信二  http://muimi.com/
テクニカルライター。Ja-Jakartaコミッタ。Java Webアプリケーション開発業務を経て、現在、主にJavaやOSS関連の調査、執筆を行っている。著書に「Eclipse 3 完全攻略」、「JavaデベロッパーのためのApacheAnt入門」(ソフトバンクパブリッシング)、「徹底解説!JSFのすべて」(秀和システム)などがある。


INDEX
第8回:フレームワークの利用
  Java Webアプリケーションの課題
フレームワーク
  必要なファイルのコピー
  JSP