これまでと操作方法が異なるWindows 8のおさらいと開発環境の構築

2012年10月19日(金)
薬師寺 国安

みなさん、こんにちは。PROJECT KySSの薬師寺国安です。今回の連載では、Windows ストアアプリのサンプル紹介をしていきたいと思います。まずは手短にWindows 8、Windows ストアアプリ、開発環境について解説いたします。

Windows ストアアプリは一時Metroスタイルアプリと呼ばれていましたが、「Metro」という言葉の使用が停止され、Windows ストアアプリに訂正されました。この原稿執筆時点(2012年8月末)では、Microsoftからの公式発表はありませんが、Visual Studio 2012のテンプレートの中でもWindows ストアの文字が使われ、サンプルページでもWindows ストアアプリの名称が使用されていますので、今回の連載ではWindowsストアアプリと呼ばせていただきます。

Microsoftのサイトでも、まだMetro スタイルアプリといった名称が残っているサイトがありますが、徐々にWindows ストアアプリの名称に変更されていくものと思われます。

Windows 8 とVisual Studio 2012の評価版のダウンロード

Microsoftは米国時間8月15日(日本時間8月16日)、MSDNおよびTechNetの加入者向けにWindows 8のRTM版の配布を開始いたしました。一般向け発売は2012年10月26日になります。残り1週間でWindows 8の環境を手に入れることができます。現在下記URLにて予約販売がなされています。
 → Windows 8の特別販売ページ

それまで、待ちきれなくて、「Windows 8」を早く試してみたいという方には、90日間の評価版が下記のURLからダウンロードできます(図1)。ダウンロードするにはWindows Live IDが必要ですので。取得されていない方は取得してダウンロードしてください。

図1:Windows 8の評価版がダウンロードできる(クリックで拡大)

このWindows 8の評価版には下記の注意事項があります。

Windows 8 評価版の注意事項

  • 評価版には有効期限があり、アップグレードはできません。アップグレードするには、評価版をアンインストールしたのち、「Windows」の正式版を元のインストールメディアから再インストールする必要があるがあります。
  • 評価版は仮想環境で実行するか、別のハードディスクまたは別のパーティションにインストールすることを推奨します。そうすれば、現在インストールされているWindowsをWindows 8にアップグレードすることができるようになります。
  • 登録(必須)時には、Microsoftのアカウントでログインし、名前、メールアドレス、国を入力する必要があります。
  • インストール後10日以内に、製品をオンラインでアクティベートする必要があります。
  • 評価版をいったんインストールすると、アップグレードはでません。Windowsの以前のバージョンに戻すには、元のインストールメディアからのクリーンインストールを実行する必要があります。

上記のような注意事項がありますので、必ず自己責任でインストールしてください。

Microsoft Visual Studio Express 2012のダウンロード

Microsoft Visual Studio Express 2012 for Windows 8 を下記URLよりダウンロードすることができます(図2)。
→ Windows ストア アプリ プログラミングの開発者向けダウンロード

デフォルトでは英語版になっていますので、日本語をダウンロードしたい場合は、「詳細情報および他の言語を入手する」をクリックして日本語版をダウンロードしてください。このMicrosoft Visual Studio Express 2012を使用する場合は、最初に、Windows 8 RTM をインストールしておく必要があります。

Visual Studio 2012をインストールしましたら、ヘルプ(H)から「製品の登録(P)」をしておくようにしましょう。

図2:Microsoft Visual Studio Express 2012がダウンロードできる(クリックで拡大)

Windows ストア アプリとは

Windowsストア アプリとは、Windows 8用アプリケーションの呼称を指します。Windows 8では、従来型のデスクトップ環境で利用してWindows 7との互換性を保つ、「デスクトップアプリ」と、「WinRT」と呼ぶアプリケーション実行環境で動く「Windowsストアアプリ」の2種類が利用できます。

今回の連載は、Visual Studio 2012を使って、「WinRT」と呼ぶアプリケーション実行環境で動く「Windowsストアアプリ」を作っていきます。

筆者の開発環境はWindows 8 Enterprise 64ビット+Visual Studio 2012 Ultimateです。

Windows 8の特徴と使い方

Windows 8では、Microsoftが2011年08月に発売したスマートフォン「Windows Phone 7.5」(auの「IS12T」)で採用した、WindowsアプリのUIをWindows 8のOSにも取り入れています(図3)。

図3:WindowsアプリのUIを取り入れたWindows 8(クリックで拡大)

このWindowsストアのUIを採用することで、Windows 8の起動画面が一変しました。これまでのWindowsを起動すると「デスクトップ」画面が表示されましたが、Windows 8では「スタート」という画面が最初に表示されます(図3参照)。

このスタート画面には、正方形や長方形をしたカラフルなアイコンが並んでいます。Windows 8では、このアイコンを「タイル」と呼びます。タイルとは、オンラインサービスのリンクやアプリケーションを起動させる「ショートカット」のようなものです。クリックすると、地図やメール、カレンダーなど、Microsoftが運営するホームページが開いたり、Internet Explorer 10やゲーム、自分でインストールしたアプリケーションが起動します。

スタートから起動したアプリケーションは、全画面(デスクトップ全体)で表示されます。複数のWindowsを並べ、切り替えながら操作する従来のデスクトップとは、この点が大きく異なります。

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

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