画像を円形にトリミングして表示・保存するプログラムを作る

2013年2月15日(金)
薬師寺 国安

円形上でドラッグした時の処理

円形の位置をドラッグした移動量分だけ動かします。e.Delta.Translation.X、e.Delta.Translation.Yでx-y画面座標の変化を取得しています。
e.Handled=Trueと指定して、Gridにイベントが伝わらないようにします。

  Private Sub Ellipse1_ManipulationDelta(sender As Object, e As ManipulationDeltaRoutedEventArgs) Handles Ellipse1.ManipulationDelta
    Ellipse1.Margin = New Thickness(Ellipse1.Margin.Left + e.Delta.Translation.X, Ellipse1.Margin.Top + e.Delta.Translation.Y, 0, 0)
    e.Handled = True
  End Sub

円形をタッチした時の処理

e.Handled=Trueと指定して、Gridにイベントが伝わらないようにします。

  Private Sub Ellipse1_ManipulationStarted(sender As Object, e As ManipulationStartedRoutedEventArgs) Handles Ellipse1.ManipulationStarted
    e.Handled = True
  End Sub

[切り出す]ボタンがクリックされた時の処理

Ellipse1(円形)のWidthとHeightで初期化された、新しいWriteableBitmapのインスタンスmyWriteableBitmapオブジェクトを作成します。

イメージデータやファイルからデータを読み取る、FromStreamメソッドで、FileOpenPickerで指定したファイルのデータを読み取り、myEllipseメンバ変数で参照しておきます。

円形の周囲の色をBlackに指定します。

矩形の上に円形の型を重ねますので、重ねる型の色をTransparentに指定して、背景の画像が見えるようにします。

Ellipse1のxとy座標とEllipse1の幅と高さで切り抜かれた画像を、myCropで参照します。同様にmyCrop2でも参照しておきます。

切り抜かれた画像を表示するresultEllipseの幅をEllipse1の幅と同じにします。同様に高さも同じにします。

ImageBrushのImageSourceプロパティにmyCropオブジェクトを指定します。円形で切り抜かれた画像が表示されます。

切り抜かれた画像にDrawEllipseメソッドで、x、y、width、height の各パラメーターで示された外接する四角形によって定義される楕円を、Blackで描画します。

次に、FillEllipseCenteredメソッドで円を黒で塗りつぶします。次に、FillEllipseメソッドで、楕円の内部をTransparent(透明色)で塗りつぶします。これで、矩形の中に選択した範囲の円が表示され、その周囲は黒で塗りつぶされます。円の中は透明色で塗りつぶされますので、選択した範囲の画像が表示されます。

[保存]ボタンの使用を可能にします。円形で切り抜かれた画像であるmyCropとmyCrop2オブジェクトを再描画します。

非同期処理で行われるため、メソッドの先頭にAsyncを追加します。Asyncが追加されていると、その処理が非同期で行われることを意味します。

  Private Async Sub Button1_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles Button1.Click
    Dim myWriteableBitmap = New WriteableBitmap(CUInt(Ellipse1.Width), CUInt(Ellipse1.Height))
    myEllipse = Await myWriteableBitmap.FromStream(Await myFile.OpenReadAsync)
    myColor = Colors.Black
    Dim myColor2 = Colors.Transparent
    myCrop = myEllipse.Crop(CUInt(Ellipse1.Margin.Left), CUInt(Ellipse1.Margin.Top), CUInt(Ellipse1.Width), CUInt(Ellipse1.Height))
    myCrop2 = myEllipse.Crop(CUInt(Ellipse1.Margin.Left), CUInt(Ellipse1.Margin.Top), CUInt(Ellipse1.Width), CUInt(Ellipse1.Height))

    resultEllipse.Width = Ellipse1.Width
    resultEllipse.Height = Ellipse1.Height

    resultImage.ImageSource = myCrop
 
    myCrop2.DrawEllipse(0, 0, CUInt(Ellipse1.Width), CUInt(Ellipse1.Height), myColor)
    myCrop2.FillEllipseCentered(CUInt(Ellipse1.Margin.Left), CUInt(Ellipse1.Margin.Top), CUInt(Ellipse1.Width * 2), CUInt(Ellipse1.Height * 2), myColor)
    myCrop2.FillEllipse(0, 0, CUInt(myCrop.PixelWidth), CUInt(myCrop.PixelHeight), myColor2)

    saveButton.IsEnabled = True

    myCrop.Invalidate()
    myCrop2.Invalidate()
  End Sub

[ファイル選択]ボタンがクリックされた時の処理

[切り出す]ボタンを使用不可にして。画像を選択するSelectImageプロシージャ—を実行します。

 Private Sub backButton_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles backButton.Click

  ImageSelect()

  Button1.IsEnabled = True

  End Sub

[保存]ボタンがクリックされた時の処理

WriteableBitmap型のmyCrop3オブジェクトで、円形で指定された範囲の画像を取得します。

Rect型の新しいインスタンスmyRectオブジェクトで描画領域を設定します。Rect構造体は四角形の幅、高さ、および原点を示します。

BiltメソッドでmyCrop3にmyCrop2の画像を合成します。Biltの書式は下記の通りです。myCrop3をmyCrop2で、myRectの領域に、色をBlackに指定して、BlendModeをAlphaで合成します。アルファブレンディングは、ソースと宛先を結合するアルファチャネルを使用しています。ColorをRedに指定すると、周囲の色が赤で書き出されます。

WriteableBitmap.Bilt(destRect As Rect,source As WriteableBitmap,sourceRect As Rect,color As Color,BlendMode As WriteableBitmapExtension.BlendMode)

切り出された画像(myCrop3)のストリームを取得し、FlushAsyncメソッドで、ストリームに対応する全てのバッファを非同期にクリアし、バッファ内のデータを基となるデバイスに書き込みます。

切り出された画像のストリームの長さで初期化された、バイト配列のオブジェクトmyPixelを作成します。ReadAsyncメソッドで、現在のストリームからバイトシーケンスを非同期的に読み取り、読み取ったバイト数だけストリームの位置を進めます。

インデックスとなる変数offSetを宣言します。切り出された画像の高さ(PixelHeight)と幅(PixelWidth)に対して、反復処理を行います。offSet変数には、4ビットを乗算したバイト型の配列変数myPixelの、インデックスになる値を格納します。

バイト型のBRGA(青、赤、緑、アルファ)変数に、ピクセルのバイト数を転送し、offSetに対応するmyPixelバイト変数にRGBAの値を指定します。この画像処理を行わないと、保存する画像が実際の画像の色と異なって保存されますので、注意してください。

ピクチャライブラリのサブフォルダCutImageにアクセスします。CreateFileAsyncメソッドで、「年月日時間分秒.png」ファイルを作成します。CreateFileAsyncメソッドは、フォルダまたはファイルグループに新規ファイルを作成するメソッドです。

OpenAsyncメソッドで読み取りと書き込み可能な状態で、作成したPNG画像を開きます。OpenAsyncメソッドは、ファイルのランダムアクセスストリームを開くメソッドです。

イメージデータの作成、編集、保存に使用されるイメージエンコーダーを含む、BitmapEncoderクラス用の変数myEncoderを宣言します。
CreateAsyncメソッドで、指定済みコーデックのために新しいBitmapEncoderを非同期的に作成し、ストリーム上でこれを初期化します。CreateAsyncメソッドには、「指定したエンコーダーのCLSID」と「ストリームのイメージファイルが書き込まれる場所」を指定します。ここでは、「指定したエンコーダーのCLSID」には、BitmapEncoder.PngEncoderIdを、「ストリームのイメージファイルが書き込まれる場所」にはmyFileStreamを指定しています。

BitmapEncoderクラスのSetPixelDataメソッドで、引数で指定されたパラメーターを使用して、フレームビットマップピクセルデータを指定します。SetPixelDataの書式は下記の通りです。

BitmapEncoder.SetPixelData(ピクセルデータのピクセル形式,ピクセルデータのアルファモード,ピクセルの幅,ピクセルの高さ, 水平方向の解像度のドット/インチ、ピクセルデータ(通常96), 垂直方向の解像度のドット/インチ、ピクセルデータ(通常96),ピクセルデータ)

BitmapEncoderのFlushAsyncメソッドで、非同期的に現在のフレームデータをコミットし、イメージファイルのデータ全てをフラッシュします。切り出された画像が保存されます。

保存した旨のメッセージを表示します。

非同期処理で行われるため、メソッドの先頭にAsyncを追加します。Asyncが追加されていると、その処理が非同期で行われることを意味します。

  Private Async Sub saveButton_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles saveButton.Click
    Dim myCrop3 = myEllipse.Crop(CUInt(Ellipse1.Margin.Left), CUInt(Ellipse1.Margin.Top), CUInt(Ellipse1.Width), CUInt(Ellipse1.Height))
    Dim myRect As New Rect(0, 0, myCrop.PixelWidth, myCrop.PixelHeight)
 
    myCrop3.Blit(myRect, myCrop2, myRect, myColor, WriteableBitmapExtensions.BlendMode. Alpha)
 
    myCrop3.Invalidate()
 
    Using myStream As Stream = myCrop3.PixelBuffer.AsStream 
      Await myStream.FlushAsync()
 
      Dim myPixel As Byte() = New Byte(myStream.Length - 1) {}
      Await myStream.ReadAsync(myPixel, 0, myPixel.Length - 1)
      Dim offSet As Integer
 
      For row As Integer = 0 To CUInt(myCrop3.PixelHeight) - 1
        For col As Integer = 0 To CUInt(myCrop3.PixelWidth) - 1
          offSet = (row * CUInt(myCrop3.PixelWidth) * 4) + (col * 4)
          Dim B As Byte = myPixel(offSet)
          Dim G As Byte = myPixel(offSet + 1)
          Dim R As Byte = myPixel(offSet + 2)
          Dim A As Byte = myPixel(offSet + 3)
          myPixel(offSet) = R
          myPixel(offSet + 1) = G
          myPixel(offSet + 2) = B
          myPixel(offSet + 3) = A
        Next
      Next
 
      Dim myFolder As StorageFolder = Windows.Storage.KnownFolders.PicturesLibrary
      Dim SubFolder = Await myFolder.CreateFolderAsync("CutImage", CreationCollisionOption.OpenIfExists)
      Dim mySaveFile As StorageFile = Await SubFolder.CreateFileAsync(DateTime.Now.ToString("yyyyMMddHHmmss") & ".png")
 
      Using myFileStream As IRandomAccessStream = Await mySaveFile.OpenAsync(FileAccessMode.ReadWrite)
        Dim myEncoder As BitmapEncoder = Await BitmapEncoder.CreateAsync(BitmapEncoder.PngEncoderId, myFileStream)
        myEncoder.SetPixelData(BitmapPixelFormat.Rgba8, BitmapAlphaMode.Premultiplied, CUInt(myCrop3.PixelWidth), CUInt(myCrop3.PixelHeight), 96, 96, myPixel)
        Await myEncoder.FlushAsync
        'Await myFileStream.GetOutputStreamAt(0).FlushAsync()
      End Using
      Dim myMessageAs New MessageDialog("保存しました。")
      Await myMessage.ShowAsync
    End Using
  End Sub
End Class

今回はここまでです。ありがとうございました。

  • 画像を円形にトリミングして表示・保存するプログラム

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

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