選択した画像を拡大表示してアニメーションさせる+1つのサンプル

2013年3月22日(金)
薬師寺 国安

時計の秒針のような動きを実装する

今回のサンプルもWinRT XAML ToolkitのPieSliceというコントロールを2つ使って、時計の秒針のような動きを実現するサンプルです。PieSliceコントロールは、StartAngleとEndAngleと半径を指定して、パイスライスのパスと形状を設定するコントロールです。このサンプルをアレンジして、時計作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

画面上に赤で塗りつぶされた円が表示されており、その円の上を黄色い線が1秒間隔で動いていくという、時計の秒針そのままの動きを実現します(図3)。

図3:時計の秒針のような動きをするPieSliceコントロール(クリックで拡大)

実際に動かした動画は下記のようになります。Windows Store Applicationの動画を撮るアプリケーションが存在していませんので、スマホで撮った動画です。見難い点はご了承願います。

サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。

プロジェクトの作成

VS 2012のメニューから[ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)]と選択します。次に、「テンプレート」から「Windows ストア」を選択し、右に表示される項目名から「新しいアプリケーション(XAML)」を選択します。「名前(N)」に任意のプロジェクト名を指定します。ここでは「Win8_WinRTXAMLToolkit_PieSlice」という名前を付けています。

NuGetパッケージの管理

今回は「画像のドラッグ、移動、回転、拡大縮小を行う+1つのサンプル」の「文字がアニメーション表示される」で使用した、WinRT XAML Toolkitに含まれているコントロールを使用します。WinRT XAML ToolkitについてはCodePlexで公開されていますので、下記のURLを参照してください。
→ WinRT XAML Toolkit

コントロールの配置

ツールボックスには、「画像のドラッグ、移動、回転、拡大縮小を行う+1つのサンプル」の「文字がアニメーション表示される」で追加した、WinRT XAML Toolkitのコントロールが登録されていると思います。登録されていない方は、上記記事を参考にツールボックスに登録してください。

ツールボックスからデザイン画面上にWinRT XAML Toolkitのコントロールである、PieSliceコントロールを2個と、TextBlockコントロールを1個配置します。

最初のPieSliceコントロールのFillにCrimsonを指定して赤系統色で塗りつぶし、WidthとHeightに360を指定します。これで円が表示されます。
Radiusに180を指定して半径180度の円を描きます。EndAngleには359を指定します。本来なら360と指定したいのですが、360と指定すると円が消えてしまいますので、359度を指定しています。

この赤い円の上にもう1個PieSliceを重ねます。Fillには透明色のTransparentを指定します。円の枠線の幅をStrokeThicknessで2と指定します。枠線の色はStrokeでGoldと指定します。WidthとHeightには360、Radiusには180と指定します。

TextBlockには1秒刻みの時間が表示されます。

書き出されるXAMLコードはリスト4、レイアウトは図4のようになります。

リスト4 書き出されたXAMLコード(MainPage.xaml)

  • (1)赤い円である半径180度の要素を配置しています。EndAngleに359を指定して、円を描画しています。
  • (2)枠線の色がGoldで半径が180度の背景が透けて見える要素を配置しています。Radius(半径)が180度で、EndAngleには値を指定していませんので、最初はGold色で半径180度の1本の線だけが表示されています。
  • (3)秒数を表示する要素を配置しています。
<Page
  x:Class="Win8_WinRTXamlToolkit_PieSlice.MainPage"
  xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
  xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
  xmlns:local="using:Win8_WinRTXamlToolkit_PieSlice"
  xmlns:d="http://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008"
  xmlns:mc="http://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006"
  xmlns:Controls="using:WinRTXamlToolkit.Controls"
  mc:Ignorable="d">
  <Grid Background="{StaticResourceApplicationPageBackgroundThemeBrush}">
    <Controls:PieSlice Fill="Crimson"  Height="360"    Width="360" Radius="180" EndAngle="359"/>■(1)
    <Controls:PieSlicex:Name="pieSlice1" Fill="Transparent"  Height="360"  Stroke="Gold"   StrokeThickness="2" Width="360" Radius="180"  />■(2)
    <TextBlockHorizontalAlignment="Left" Height="92" Margin="921,733,0,-57" TextWrapping="Wrap"  VerticalAlignment="Top" Width="105" FontFamily="Meiryo UI" FontSize="72" x:Name="TextBlock1"/>■(3)
  </Grid>
</Page>
図4:各コントロールを配置した。TextBlock1の位置がずれているのは、実行した際の位置とレイアウトした際の位置がずれるため、実行した際に正常な位置に表示させるため、故意にずらしている(クリックで拡大)

次に、ソリューションエクスプローラー内のMainWindow.xamlを展開して表示される、MainWindow.xaml.vbをダブルクリックしてリスト5のコードを記述します。

ロジックコードを記述する

リスト5 (MainWindow.xaml.vb)

Option Strict On

タイマーに関するクラスの含まれる、Windows.System.Threading名前空間をインポートします。

Imports Windows.System.Threading

Public NotInheritable Class MainPage
  Inherits Page

タイマーを表すDispatcherTimerクラス用メンバ変数myTimerを宣言します。

  Dim myTimer As New DispatcherTimer

ページがアクティブになった時の処理

タイマーの間隔を1秒に設定します。Startメソッドでタイマーを開始します。

AddHandlerステートメントで、指定したタイマーの間隔が経過し、タイマーが有効である場合に発生するTickイベントに、イベントハンドラを追加します。イベントハンドラ内では以下の処理を行います。

6ずつ加算される変数noの値が360であった場合は変数noを0で初期化します。

それ以外の場合は、noの値を6ずつ増加し、pieSlice1のEndAngleプロパティの値に指定します。これで、背景が透明で枠線がGoldの円が1秒刻みで描かれていきます。

TextBlockにはnoの値を6で除算した1秒刻みの時間を表示します。

  Protected Overrides Sub OnNavigatedTo(e As Navigation.NavigationEventArgs)

    myTimer.Interval = New TimeSpan(0, 0, 1)
    Dim no As Integer = 6
    AddHandlermyTimer.Tick, Sub()
                              If no = 360 Then
                                 no = 0
                              Else
                                 TextBlock1.Text = CStr(no / 6)
                                 pieSlice1.EndAngle = no
                                 no += 6
 
                              End If
                            End Sub
    myTimer.Start()
  End Sub

ページが非アクティブになった時の処理

タイマーを停止します。

  Protected Overrides Sub OnNavigatedFrom(e As Navigation.NavigationEventArgs)
    myTimer.Stop()
    MyBase.OnNavigatedFrom(e)
  End Sub
End Class

今回はここまでです。ありがとうございました。

  • 選択した画像を拡大表示してアニメーションさせるアプリサンプル

  • 時計の秒針のような動きを実装するアプリサンプル

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

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