第9回:O/Rマッパーの利用 (3/4)

How to Eclipse!
Eclipse3ではじめるJava Webアプリケーション開発

第9回:O/Rマッパーの利用
著者:宮本 信二   2005/3/16
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S2Daoの環境設定

   それでは、実際にS2Daoを使ってみましょう。まず、S2Daoの入手と設定から説明します。
ダウンロード

   SeasarプロジェクトのWebページ(http://www.seasar.org/)より、S2(Seasar2)およびS2Daoをダウンロードします。ここでは、執筆時点の最新版のS2.1.11およびS2DaoV1.0.18をダウンロードしました。

   ダウンロードしたファイルを適当なディレクトリに展開します。これらは、データベースサービスのように別途起動するタイプのツールではなく、JARファイルをアプリケーション内にコピー(あるいは直接外部のクラスパスを指定)して利用します。


Eclipseプロジェクトの作成

   プロジェクトは通常のJavaプロジェクトとして作成します。ここではmys2daoという名前で、プロジェクト・レイアウトは「別のソースおよび出力フォルダ」として作成しました。


必要なファイルのコピー

   プロジェクト以下に、次のようなファイルを作成していきます。

必要なファイルの準備
図3:必要なファイルの準備


   まずJARファイルをコピーします。プロジェクト直下にlibという名前のフォルダを作成し、クラスパスに必要なJARファイルをコピーします。コピーするJARファイルは以下のものです。

  • seasar2/lib以下のJARファイル
  • s2dao/libのs2-dao-xxx.jar

   その他に、JDBCドライバもコピーします。ここではHSQLDBを利用しますので、seasar2/libにあるものをそのまま利用します(JDBCドライバはDBとバージョンが違うと動作しない場合があるので、正しくは、JDBCドライバは別にコピーした方がよい)。そして、コピーしたJARファイルをEclipseプロジェクトのクラスパスに通します。

   最後に設定ファイルをコピーします。s2dao/srcにある、以下のリストのファイルをsrcフォルダにコピーします。これらは自前で全部書いてもよいのですが、ここではサンプルのファイルを利用していきます。

  • dao.dicon
  • j2ee.dicon
  • log4j.properties

   以上で環境の準備は完了です。


S2Daoの利用

   S2Daoを利用する環境が整いましたので、DAO、DTOおよびクライアントの作成を行いましょう。


DBテーブル

   ここでは、データベースは第7回で作成したものをそのまま利用します。一応スキーマを示しておくと、以下のような簡単なテーブルです。

利用するDBテーブルのスキーマ
create table video (
title varchar(100) primary key,
price integer
);
DTOの作成

   このVIDEOテーブルに対応するDTOを作成します。ソースコードは以下のリストのようになります。このクラスは、title、priceという名前のプロパティー(ゲッター、セッター)を持つJavaBeansです。

   ここでTABLEという名前のstaticフィールドがありますが、これはこのクラスがVIDEOテーブルに対応することを示しています(定数で情報を埋め込んでいるので「定数アノテーション」と呼ばれます)。なお、この場合、DTOクラス名とテーブル名が同じなので省略できます。toString()はデバッグ用です。

リスト3:Video.java
package hoge;

public class Video {

public static final String TABLE = "VIDEO";

private String title;
private int price;

public String toString(){
return super.toString()
+ ",title=" + title
+ ",price=" + price
;
}

public int getPrice() {
return price;
}

public void setPrice(int price) {
this.price = price;
}

public String getTitle() {
return title;
}

public void setTitle(String title) {
this.title = title;
}
}
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著者プロフィール
宮本 信二  http://muimi.com/
テクニカルライター。Ja-Jakartaコミッタ。Java Webアプリケーション開発業務を経て、現在、主にJavaやOSS関連の調査、執筆を行っている。著書に「Eclipse 3 完全攻略」、「JavaデベロッパーのためのApacheAnt入門」(ソフトバンクパブリッシング)、「徹底解説!JSFのすべて」(秀和システム)などがある。


INDEX
第9回:O/Rマッパーの利用
  データベース処理は手間である
  DAOパターン
S2Daoの環境設定
  DAOの作成
Eclipse3ではじめるJava Webアプリケーション開発
第1回 Eclipse3の概要とインストール
第2回 Eclipse3の基本機能
第3回 Eclipse3の基本操作を憶えよう
第4回 Eclipseの便利な機能
第5回 Webアプリケーションの開発(1)〜JSP作成〜
第6回 Webアプリケーションの開発(2)〜サーブレットの作成〜
第7回 データベースの利用
第8回 フレームワークの利用
第9回 O/Rマッパーの利用
第10回 JUnitの利用
第11回 Antの利用
第12回 CVSの利用(1)
第13回 CVSの利用(2)
Eclipseが提供するBIとレポーティングツール
第1回 インストールからはじめるEclipse BIRT
第2回 データベースのデータをレポートに出力しよう
第3回 レポートを作成しよう
第4回 スクリプティング機能・Tomcatでのプレビュー・レポートエンジンを使用したレポート出力
Eclipse実践プラグイン開発
第1回 Eclipseとプラグイン
第2回 プラグインの配布とインストール
第3回 基本的なGUIコンポーネントの利用
第4回 JFaceのGUIコンポーネント
第5回 メニューとポップアップ・メニューの拡張
第6回 ビューの拡張
第7回 エディタの拡張
第8回 パースペクティブの拡張
第9回 プロパティと設定の拡張
Eclipse WTPによる標準開発ツールの提供
第1回 Eclipse WTPの概要とインストール
第2回 Eclipse WTPでHello World
第3回 Eclipse WTPのDB系ツールを使う
第4回 Eclipse WTPのエディタとその他のツール

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