第6回:統合マネジメントシステムを実現するBIプラットフォーム (2/4)

統合化BI
統合化が進むBIツール

第6回:統合マネジメントシステムを実現するBIプラットフォーム
著者:マイクロソフト  米野 宏明   2006/4/10
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マイクロソフトの統合BIプラットフォーム

   マイクロソフトの統合BIプラットフォームは、ユーザごとに異なるワークスタイルに最適化されたBI環境を提供することができます。このプラットフォームでは、分析ツールやデータだけではなく、サービス志向アーキテクチャ(SOA)に基づき、各レイヤで関連するサービスを標準化しており、既存システム資産も含めた形でユーザ環境の変化に合わせ、最適な組み合わせを柔軟に選択できます。これにより、日常業務にスムーズにBIを埋め込み、シームレスな価値創造プロセスを構築することが可能となります。
マイクロソフトの統合BIプラットフォーム
図1:マイクロソフトの統合BIプラットフォーム
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


SQL Server 2005

   2006年2月発売開始のSQL Server 2005は、データおよびサーバサービスの標準化を担うキーコンポーネントとなります。SQL Serverはデータストアであるだけでなく、必要なすべての機能を標準搭載したビジネスインテリジェンスサーバで、分散するソースからのデータ集約のためのデータ統合サービス(Integration Services)や、可用性とパフォーマンス向上のための複製サービス(Replication Services)により、標準化データの効率的な管理を可能とします。

   また、OLAPやマイニング、KPIの集中管理のための分析サービス(Analysis Services)、Webレポーティング(Reporting Services)、アラート通知サービス(Notification Services)により、標準化サービスを通じた高品質のインテリジェンスの広範囲にわたる素早い配布をも実現します。


Office Business Scorecard Manager 2005

   同じく2006年2月に発売開始のOffice Business Scorecard Manager 2005は、SQL Serverの標準化サービスを利用し、ユーザ自身が必要に応じて自由に定義・加工できるスコアカードや連動レポートを提供するサーバサービスです。

   スコアカードやレポートをポータル画面に「Webパーツ」として貼り付けて、文書やメモなどとともにブラウザ上で共有する「ダッシュボード」が構築できます。スコアやデータの更新時に、電子メールによる通知を受け取ることも可能になり、ユーザごとに異なる業績など様々なステータスを一目で把握、問題点の素早い発見ができます。


OfficeがBIを支援する

   これらの標準化サーバサービスからインテリジェンスを得て価値向上に結びつけるのは「人」であり、人の生産性向上をもたらす標準化デスクトップサービス、すなわち、あらゆる日常業務で活用されているMicrosoft Officeがそれを支援します。

   標準化サーバサービスにより与えられる情報は、あくまで「気づき」を与えるきっかけに過ぎず、そのままでは何の価値ももたらしません。あらかじめ定義された情報を基に、その枠を超えて様々な条件や視点での分析を繰り返し、深い洞察を得た後、それによる新たなインテリジェンスの創造と迅速で的確な業務遂行へとつなげていく必要があります。

   例えば、柔軟性に優れ、最も利用されているビジネスソフトウェアでもあるExcelには、ピボットテーブル/グラフと呼ばれる対話型の多次元集計機能や各種分析関数・ツールが標準装備されています。

   標準化されたデータやサーバサービスに直接接続し、アドホックな分析作業を簡単に実行できる無償アドインをインストールすれば、多次元データベースへのデータ書き戻し(What-if分析機能)やドリルスルーも可能なります。さらに、WordやPowerPoint、Outlookなど他のOffice製品との相互運用により、日常業務プロセスの中にスムーズにBIを埋め込むことが可能になります。その結果、ユーザは特に意識することなくBIを日常の仕事の一部とすることができるでしょう。

   そして、データやサーバサービスとデスクトップサービスのシームレスな連携を強化するのが、標準化コミュニケーションサービスです。人と情報の非同期/同期コミュニケーションに利用されるExchangeやLive Communication Server、リアルタイムのビジネスアクティビティモニタリング(BAM)と効率的なプロセス連携のためのBizTalk Server、そして、それらも含めた人・情報・プロセスの相互連携の基点となるSharePointテクノロジーが、その役割を担います。

   特に、SharePointテクノロジーにより提供されるポータル画面は、標準化レポートやユーザ定義のスコアカード、Excelレポートなどを、自在な配置と相互連携が可能な「Webパーツ」として取り込み、人が介在したサービス連携を中継します。ユーザごとにカスタマイズされるポータル画面により、必要な情報の確実なプッシュ配信が可能で、検索機能とあいまって、ユーザはその所在を意識せずに必要な情報やプロセスへの瞬時のアクセスが可能となります。

   さらに、Rights Management機能により、引き出され加工された後の情報に対しても万全のセキュリティを確保できます。

   標準化の過程で落とされた情報、定量化が困難な文書情報、人が持つ文書化困難な知識の中にこそ、洞察を深める重要な情報が眠っていることが多いのです。これら独自の情報を、素早くかつ安全に引き出すと共に、スコアカードやレポート、非定型分析の結果とあわせて活用することで、模倣不可能な新たなビジネス価値を生み出すことができるのです。

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マイクロソフト株式会社 米野 宏明
著者プロフィール
マイクロソフト株式会社  米野 宏明
インフォメーションワーカービジネス本部 シニアプロダクトマネージャー
BIコンサルティング、ソリューション提案業務を経て現職。Office Business Scorecard ManagerなどBI系Office製品のマーケティングを担当。データベーススペシャリスト(情報処理技術者試験)。


INDEX
第6回:統合マネジメントシステムを実現するBIプラットフォーム
  BIプロセス全体をカバーするマイクロソフトの統合BIアーキテクチャ
マイクロソフトの統合BIプラットフォーム
  優れた開発生産性と設計柔軟性
  ユーザフレンドリな操作性と多彩な機能の統合
統合化が進むBIツール
第1回 なぜ今、BI統合化なのか
第2回 データを中心に統合化するOracle
第3回 オープンアーキテクチャを採用した「Cognos 8 BI」
第4回 ビジネス・パフォーマンス・マネジメントが実現する経営管理サイクル
第5回 End To Endの包括的なBI・EPMを提供するBusinessObjects XI
第6回 統合マネジメントシステムを実現するBIプラットフォーム
第7回 統合化のメリットと各社の特徴
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第1回 BIの世界を体験する−イントロダクション  オープンソースBIツールOpenOLAP
第2回 BIシステムの特性を知る−基礎知識編(1) BIシステム導入の目的
第3回 BIシステムの特性を知る−基礎知識編(2) BIシステムのアーキテクチャ
第4回 BIシステムの特性を知る−基礎知識編(3) データベースとBIツール
第5回 BIシステムの特性を知る−基礎知識編(4) BI構築プロジェクトの進め方
第6回 BIシステムをつくってみる−実践編(1)設計−導入計画と要件定義
第7回 BIシステムをつくってみる−実践編(2)設計と構築
第8回 BIシステムをつくってみる−実践編(3)続・構築フェーズ
第9回 BIシステムをつくってみる−実践編(4)構築フェーズ〜プロジェクト評価フェーズ
第10回 BIシステムをつくってみる−実践編(5)機能拡張プロジェクト
第11回 BIシステムの構成を決める−製品選択編(1)BIツール選択のポイント
第12回 BIシステムの構成を決める〜製品選択編(2)BIツール選択(続き)とデータベース選択のポイント
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第1回 BIツール選択の基本は、分類すること
第2回 分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(前半)
第3回 分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
第4回 レポーティング・ツールの選択〜大量ユーザのサポートに必要な機能をチェック(前半)
第5回 レポーティング・ツールの選択〜大量ユーザのサポートに必要な機能をチェック(後半)
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第7回 モニタリング・ツールの選択〜経営者の必要とする表現力をチェック(後半)

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