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統合化が進むBIツール

第1回:なぜ今、BI統合化なのか
著者:アイエイエフコンサルティング  平井 明夫   2006/03/06
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BIツール統合化の背景

   現在までのBIツールは、「OLAP分析」「C/S型検索・レポーティング」「Web検索・レポーティング」「ダッシュボード・ポータル」「スコアカード」とその機能範囲を次々と広げてきました。

   その結果、1つの企業内で複数のBIツールが使用される、あるいは同一ベンダー製品であってもアーキテクチャが異なるなどの理由により、ITガバナンスやTCOの面で問題がでてきました。

   しかしここにきて、ベンダー各社はこの問題への回答といえる統合化されたBI製品を相次いで市場に投入してきています。

   この連載では、主要なBIベンダーによって各社の統合BIツール製品の特徴が解説されますが、連載第1回の今回は基礎知識として、まずはこのBIツール統合化に至る背景について説明します。


BIツールの起源(パワーユーザのためのBI)

   「エンドユーザがIT部門の助けをかりずに、自らデータを分析し、ビジネスに活用する」というBI(ビジネス・インテリジェンス)の概念は、1990年代初頭に登場しました。当時はクライアント・サーバ(C/S)のシステム・アーキテクチャが全盛で、サーバにデータを統合し、クライアントに高度な分析機能を持つBIツールを導入し、エンドユーザが自らデータを分析するという初期のBIツールのアーキテクチャはこの時流にそったものでした。

   したがって初期のBIツールは、ユーザインターフェースも大変凝ったもので、使いこなせるユーザであれば、非常に高度な分析ができるようにデザインされていました。

   この頃のBIツールの分析機能の中核はOLAP分析と呼ばれるもので、論理的または物理的に多次元に構造化されたデータベースを、ドリルダウン/スライシング/ダイシングという3つの分析操作で検索し、データ分析を行うというものでした。

3つのOLAP分析操作
図1:3つのOLAP分析操作

   ユーザインターフェースもダブルクリック・ドラグアンドドロップといった、当時ではまだ目新しかった高度なマウスによるユーザ操作をフルに活用したものとなっていました。

   このような背景で登場したBIツールは必然的に、エンドユーザの中でもパワーユーザと呼ばれる日常業務の中で、データ分析を定常的に行うユーザが主なユーザとなりました。また分析対象データも、ヒストリカル(時系列的)に蓄積されたデータが中心で、このようなデータの蓄積のために必要となる大規模データベースが、データウェアハウスとして積極的に導入されたのもこの時代でした。

   この当時の代表的なBIツールは、販売分析と呼ばれるもので、販売実績の個数や金額を長期間に渡って蓄積し、マーケティングや営業企画担当者が、製品の売れ方の背景にある問題点や、売れ筋の特徴などを見つけ出し、次の販売計画に活用するという内容でした。

   また、データマイニング技術を併用し、顧客属性データやPOSデータを利用し、顧客の購買行動を分析するというBIアプリケーションも、小売流通業を中心に盛んに導入されました。

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アイエイエフコンサルティング
著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング  平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウエア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特に、データウエアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現職についてから、BIスペシャリストの人口が増えない現状に発奮し、BI技術の啓蒙のため、雑誌・Web媒体の記事執筆に積極的に取り組んでいる


INDEX
第1回:なぜ今、BI統合化なのか
BIツール統合化の背景
  BIツールの発展(全てのユーザのためのBI)
  BIツールの拡張がもたらした問題点
  企業内BIツール標準化への流れ