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Linuxオープンソース白書2006
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス

IAサーバーを中心にまだ市場拡大が望めるLinux
高い技術力とカスタマイズ力で事業者競争は本格化
取材協力:テックスタイル  風穴 江   2005/10/3
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はじめに

ThinkIT会員特典20%OFF    企業の情報システムとして利用されるLinux。今や、ビジネスにITを活用する際の選択肢のひとつとして、Linuxは欠かせない存在となっている。

   オープンソースのオペレーティングシステムとして注目を集めてビジネスで利用されるようになるまで、Linux業界にはさまざまな動きがあった。

   Linuxを取り巻くさまざまな事業者(ディストリビューションメーカー、ハード/ソフトベンダー、SIerなど)は、業界の拡大に伴ってどのような対応を行い、サービスを提供してきたのだろうか。また、Linuxによって、今後どのようなサービスの展開が期待できるのだろうか。Linuxの歴史とともに考えてみよう。


バブル崩壊を乗り越えたLinux事業者

   1991年頃からすでに誕生していたLinuxがビジネスの世界で大きく注目され始めたのは、インテルなどの大手企業によるレッドハット(RedHat)への投資が開始された1998年9月からとなる。米国のITバブルの高まりと呼応するように、多くのベンチャーキャピタルによってLinux企業への投資が活発に行われるようになり、Linux事業は大きな発展を迎えることとなった。

   しかし、この時期に登場してきたディストリビューションメーカーをはじめとするLinux企業のすべてが現在でも生き残っているわけではない。景気の低下に伴い、Linux事業に当てられる資金も低下していくことによって、経営力のないLinux事業者は市場からの撤退を余儀なくされてきたのである。現在、ワールドワイドマーケットで覇権を争う2大ディストリビューションメーカー、レッドハットとスーゼ(SUSE LINUX:現在はノベル傘下)は、こうした淘汰の波を生き残ってきた企業の一例ということになる。


IAサーバーへの乗り換え需要とLinux

   2000年から2001年のITバブル崩壊で成長が止まるかに見えたLinuxではあったが、2002年頃から「ビジネスに利用できるオペレーティングシステム」として認識され、ユーザーの認知度は高まってくる。これには、1999年からいち早くLinuxへの本格的なコミットを宣言していたIBMが、そのことによって着実に自身のビジネスを拡大していったことも大きな後押しとなった。また、従来のRISC/UNIXサーバーからIAサーバーへの乗り換え需要が大きくなり、これらの市場の広がりとともにLinuxに対する需要が増えてきたことも原因として挙げられるだろう。

   現状では、RISC/UNIXサーバー市場に対して、IAサーバーをベースとしたLinuxとWindowsが市場規模を拡大している状態であるが、数年以内にはIAサーバー市場そのものの拡大傾向が頭打ちになってくる。そうなれば、いよいよ「Windows vs. Linux」の一騎打ちが激しさを増すことになる。

   これらの市場規模の拡大においても、レッドハットとスーゼは、多くのハードウェアベンダーとワールドワイドでOEM契約しているという点で、高い優位性を持っている。また、大企業のニーズに合うサービスを提供している点も大きなアドバンテージである。たとえ、他のディストリビューションよりもコスト高であったとしても、大規模ビジネスに耐えうるサービスとサポートを提供できれば、市場に大きく食い込むことができる。

   しかし、他のディストリビューションメーカーにチャンスが閉ざされているわけではない。現在の大手ディストリビューションの市場は欧米が中心となっており、中国を含むアジアや南米などにはまだまだ大きな市場が眠っている。これらの市場で今後どのようにシェアを獲得していくかが大きな鍵となっていきそうだ。また、現在の選択肢の少ない状況の中で、今後新たな価値を提供するディストリビューションメーカーが複数登場してくる可能性は十分にある。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス
IAサーバーを中心にまだ市場拡大が望めるLinux
高い技術力とカスタマイズ力で事業者競争は本格化
  クライアントや組み込み分野
Linux/オープンソース白書2006
オープンソースの基礎知識
オープンソースの基礎知識
世界のオープンソース開発プロジェクト
キーマンインタビュー
OSS推進の理由と活動の展望
オープンソースを武器に拡大戦略をとるワイズノット
ERP業界にオープンソースで挑戦するビーブレイクシステムズ
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス
オープンソースを中核にした新世代のベンチャー企業
SI事業者におけるオープンソースの位置付けと今後の可能性
組み込み分野の動向を変化させるオープンソース
Linux技術者の認定資格「LPI」国内の現状報告
Linux技術者の認定資格「LPI」国内の現状報告
実態調査で見るユーザー企業の利用動向
第1回 Linuxとオープンソースソフトウェアの認知度
第2回 サーバーOSの導入状況
第3回 ディストリビューション
第4回 技術者教育
第5回 オープンソースソフトウェアの導入意向
成長するLinuxオープンソースビジネス
第1回 レッドハット株式会社(Red Hat K.K.)
第2回 ノベル株式会社(Novell Japan,Ltd.)
第3回 ミラクル・リナックス株式会社(MIRACLE LINUX CORPORATION)
第4回 ターボリナックス株式会社(Turbolinux,lnc.)
第5回 モンタビスタソフトウエア(Montavista Software,lnc.)
第6回 日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM Japan,Ltd.)
第7回 日本ヒューレット・パッカード株式会社(Hewlett - Packard Japan,Ltd.)
第8回 日本電気株式会社(NEC Corpotation)
第9回 富士通株式会社(FUJITSU LIMITED)
第10回 株式会社日立製作所(Hitachi,Ltd.)
第11回 デル株式会社(Dell Japan Inc.)
第12回 日本オラクル株式会社(Oracle Corporation Japan)
第13回 日本SGI株式会社(SGI Japan,Ltd.)
第14回 日本ユニシス/ユニアデックス/日本ユニシス・ソリューション(Nihon Unisys,Ltd.)
第15回 リネオソリューションズ株式会社(Lineo Solutions,lnc.)
第16回 SAPジャパン株式会社(SAP Japan Co., Ltd)
第17回 サン・マイクロシステムズ株式会社(Sun Microsystems, lnc.)
第18回 日本BEAシステムズ株式会社(BEA Systems Japan,Ltd.)